フィリピン実習生とアレコレ

フィリピン技能実習生にまつわる雑感です。現場から見た外国人労働者との関わり、特定技能ビザの問題についても記します。

新マニラ市長は将来の大統領か(2)

(前回の続き)

 

格差社会フィリピンでも貧困層上がりの政治家は他にも存在した。

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有名どころでは首都圏の最大のビジネス街、マカティのビナイ元市長だ。太ったなまっちろい顔か中国人顔(華僑)が多いこの国の政治家には珍しく浅黒いマレー系の顔をしていることからわかるとおり、貧しい家庭に生まれている。

 

苦学して日本の東大に当たるフィリピン大を卒業して弁護士となった優秀な人物で、1988年からマカティのトップを務め、同国最大のビジネス地区に発展させた立役者だ。

 

だが、この国の貧困層上がりのリーダーは皆、成り上がるや否や頭を悪いことに使い始める。

 

任期満了後は、市長の座を嫁→息子→娘と同族でたらい回しにして市長の座を私物化。バブル経済の恩恵にあずかるべく、同市内で新築された全コンドミニアムに1部屋をプレゼントさせていたまで言われている。

 

newsinfo.inquirer.net

 

東京でいえば丸の内のマンションすべての一室を市長に献上させた形だ(笑)。目もくらむばかりの財力を得て一時は飛ぶ鳥の勢いだった。2016年の大統領にも出馬し、下馬表ではトップだったにもかかわらず上記の汚職疑惑が噴出し、落選してしまった。

 

何が言いたいかというと、この国の政治家は日本と比べ物にならないくらい悪く(ただ、その分日本の政治家以上に金持ちだ)、市民の味方なぞ幻想に過ぎないのだ。口では偉そうにいうが、私腹を肥やす馬鹿者だらけである。

 

首都圏最古の都市、マニラ市も同様。前市長は元大統領のエストラダ氏が6年にわたって務めてきたが、彼は日本でいえば勝新太郎森喜朗を足してさらに頭を悪くしたような人物だ。

 

違法賭博などの献金10億円以上を着服した罪で大統領の座を追われ、最悪終身刑だったのだが、その後なぜかうやむやになり、市長として復活した。

 

勝新太郎みたいに俳優としては国民的人気があるのだが、なにせ勝新だから、愛人の数は10人と公言するわ、ギャンブルは大好きだわと無頼そのもの。

 

マニラ市長時代は1959年に作られた歴史あるマニラ動物園を民間に売却して、賭博目的の闘鶏場にするなどととんでもないことを言いだしていた。おおかた中国人から賄賂でももらったのだろう。

 

知人にエストラダ元市長のスピーチライターがいるのだが、「難しい。単語が読めない」と書き直しを命じられることに閉口していた(笑)。そのぐらいアホである。

 

しかし、モレノ新市長は違った。就任するや否やマニラ動物園の保全を発表。「市民の憩いの場を賭博場にはしないし、売却するつもりもない」と明確に語ったのだ。

 

次にわずか数日で市内最大の屋台街ディビソリア地区の一掃して見せた。

 

日本でいえばアメ横にあたり、ウエディングドレスから家具まで揃わないものはないといって良いくらいの巨大屋台街だが、スリやひったくりも多く、決して日本人に馴染みのある地域ではない。

 

ここは道路上に屋台が溢れ、事実上の歩行者天国状態になっていた。

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マニラのアメ横ディビソリアの違法屋台。右が撤去後

だが、昨今首都圏で問題となっているのが狂気と言って良いほどの渋滞。10年前なら30分程度の距離でも現在は下手すれば2〜3時間はかかるだろう。通勤に2時間以上かかる人も珍しくない。

 

背景にあるのは経済発展に後押しされた自家用車の急増。ここ10年で車の数は10倍ぐらいに増えたのではないか?

 

マニラ首都圏は人口1300万だが、周辺人口合わせて3000万人の都市といわれる。人口だけなら東京以上の規模だ。

 

そこを走る鉄道はわずか3本のモノレールのみ(2019年現在)なので、公共交通の不備→自家用車を買う→渋滞悪化→不便なのでさらに自家用車が増える→渋滞悪化といった現象が起きている。

 

これを踏まえて同市長は道路の違法建築や屋台一掃に乗り出したのだ。

 

この過程で反対する違法屋台業者から、1日500万ペソ(1千万円)の賄賂申し出を拒否したことも明かしている。

 

続いて、「学校、バスケットコート、病院などに政治家の名前をつけたり校内に書くことを禁ずる」と発表した。

「建設に使われたのは政治家のカネではない。市民の金(税金)だ」「教育の場に政治を持ち込むべきでない」とも。

 

日本から見るとピンとこないが、フィリピンでは税金はおろか、海外からの援助で建てられたものにも政治家が自分の名前をつける公私混同が横行している。

 

ありとあらゆる公共事業には「●●市長のおかげで」と仰々しく垂れ幕が掲げられ、ぶよぶよに太った政治家の醜い笑顔は町のいたるところで見られる。

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税金で送られた救援物資にすら市長の名前を入れるクズっぷり。

 

まさにやりたい放題だ。

 

これは、そもそも政治家も公務員も権力者は皆「神から与えられた特権」と考えているからだと思う。

公僕や血税なんて言葉は考えたこともないのだ。税金=上納金ぐらいにしか考えてない。

 

だが、国民も国民で、そんな権力者にこびて自分も甘い汁の残り物に預かることが最大の関心事。実際、実習生にこういった話をしてもピンとこないようだ。「市長はエライひとだからしょうがない」ぐらい認識である。

 

おそらく縄文時代に毛の生えた程度の部族国家からいきなりアメリカやスペインの植民地になり、お仕着せの民主主義を被せられたので、頭の中が部族のままなのだ。(まあ、日本の田舎のおっさん、おばはんも似たようなところはあるが)。

 

そんな民主主義の失敗国家と呼ばれるフィリピンに、「賭博よりも教育」「賄賂よりも秩序」「公僕と血税」といった概念を理解している新世代のリーダーがついに出てきたことを意味する。発言がいちいちマトモなのが新鮮なのだ。

 

私はフィリピンの政治はジョークだと長年考えていた。しかしもはやその認識を変えねばならないかもしれない。

 

日本もこんな若く、優秀なリーダーが出てくるべきなのだが…。

 

 

 

新マニラ市長は将来の大統領か?

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イケメンで44歳新生代のリーダーだ

首都圏マニラ市の新市長、イスコ・モレノ氏(44)が注目を集めている。就任するや否や、次々とメディア受けする政策を打ち出したのだ。わずか10日ほどの間に以下のような政策を発表。

 

・首都圏最大の屋台街ディビソリア地区の違法屋台撤去

・下水道の掃除と市街の清掃活動

・市長直通のホットライン開設

・違法屋台から賄賂をせしめていた警官9名の解任

・公共施設に政治家の名前を記載することを禁止

・マニラ動物園、公園の保全の確約

 

 

今や彼の働きがメディアの話題をさらわない日はない。

 

元俳優のイケメンなのでテレビ映えすることもあり、SNSでも賞賛の声が高まっている。いささか気が早いがこのまま行けば次期大統領になる可能性も高いだろう。

 

注目すべきはその生い立ち、首都圏マニラ市のスラム街、トンド地区で育った。貧困層の家庭に生まれ、 10歳からゴミ拾いをして生計を助け、レストランのゴミ箱から食べ残しを集めて夕食にするような幼少期を過ごしたという。

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貧民街での人気は絶大だ



貧者と超富裕層といった格差による身分制度が存在し、政治が金持ちの家業と化したこの国ではこのような出自の人物が首都圏の市長になるのはほとんど奇跡だ。

 

 

ハンサムな容姿のおかげで19歳の時にテレビ番組のスカウトを受けて芸能界入りし、俳優として活躍。キャリア全盛期にも関わらず、23歳でマニラ市議に当選して政界への道を歩み始めた。

 

当初は俳優上がりの高卒と見下されたこともあったそうだが、市議を務めながら大学を卒業。その後も複数の大学で政治について学び、2007年からはマニラ市の副市長に当選した。

 

注目すべきはその政治キャリアだ。

 

元警察官僚で内務自治長官のアルフレッド・リム(2007~2013)、元大統領のジョセフ・エストラダ(2013~2019)という全くタイプの両市長に副市長として仕えていたのだが、この二人は全くタイプが違う。

 

日本でいうなら後藤田正晴森喜朗元首相みたいなもんである。かたや切れ者でかたやパッパラパーだ。

 

切れ者リムに仕えていながら、フィリピン史上最悪のアホ大統領でありながら、国民的映画俳優で人気者のエストラダが市長選に出馬すると、あっさりと勝ち馬に乗り換えるえげつなさ。さらに、今年の選挙では再選を狙うこの二人蹴落として市長に就任して見せたのだ。いわば元ボス二人を公然と裏切って見せたのだ。

 

 

ハンサムな外見に似合わず仁義なき闘いができるタフさを持っている。日本の坊ちゃん政治家にはないしたたかさだ。

 

ちなみに、フィリピンの芸能界は金持ちの息子や娘だらけだ。さらにテレビ業界関係者にはホモが多く。私の知人の元モデル男性はホモプロデューサーのセクハラに耐えかねて、芸能界をやめたと言っていた。

 

スラムから成り上がった彼が華やかな芸能活動の裏で相当しんどい思いをしたことは想像にかたくない。

 

日本の発展を支えた戦後の政治家には田中角栄のように貧困から成り上がった人や、戦争で地獄を見た経験をした苦労人が多かった。モレノ氏同様、知性だけでなくタフで狡猾な部分も併せ持っていたことだろう。

 

こういう人はそう簡単にはくたばらない。清濁併せ吞む頼もしいリーダーである。

 

’(続く)

 

慰安婦報道と実習生報道

昨今の実習生報道を見ていて非常に気になることがある。

徴用工や慰安婦の問題は昨今の実習生報道と似通っているように感じるのだ。

 

断っておくが、私は太平洋戦争の激戦地フィリピンにしばらく住んでいたので、歴史的に見て先の大戦を日本軍がアジア解放のために戦った正義の戦争という産経新聞的な視点には与しない。

 

その側面はあったことは間違いないが、自国だけがおいしい目を見たいという欲望渦巻く植民地争奪戦に参入したのだから、大義名分はともかく内情は醜いものであったに違いない。

 

欧米よりも貧しい日本が争奪戦に後発組として参加したのだから、当然乱暴なやり方になり、その過程で無茶なことをしたことは容易に想像できる。残念なことにその証言はいくらでも残っている(今の中国みたいなもの)。

 

ましてや戦時下になれば状況は更に酷くなる。

 

嫌がる日本人男性も根こそぎ戦地に送られていた時代だ。植民地だった韓国あたりから無理して労働力を確保したケースもあったろうし、軍の性欲を制御すべく、大量の慰安婦を集める過程でひどいことも行われたに違いない。

 

ただ、この面で確実なことがある、徴用工や慰安婦は日本人と同等の条件だったのである。そもそも公式に非道な制度を法治国家である日本政府が認めるわけはないのだ。

 

 

www.sankei.com

この産経新聞の徴用工についての記事もさることながら、当時の戦記を読めば多額の金を稼いで家を建てようと夢見ている慰安婦の話などが出てくる。ちゃんと給料も払われていたのだ。

 

とは言え、現代日本における飯場性風俗産業を見ても、最底辺の肉体労働の業界に雇用トラブルはつきものである。大量の労働力を効率よく確保するには民間のブローカーは必須だが、リクルートの仕方は今も昔も乱暴だし、雇われる側も雇う側もワケありが多い。

 

 

時代背景として、戦前は東北など貧しい地方の女性が借金のカタに泣く泣く女衒に売られるのは珍しい話ではなかった。それしか生きる道が無い人が当時はたくさんいたのだ。こういった日本人女性は慰安所で働かされたり、マレーシアを始め東南アジアに「からゆきさん」として売春婦として売られていたのである。

matome.naver.jp

実習生もそうだが、外国で大勢リクルートするなら、地元のブローカーを使わないと集まるわけがない。こんな時代背景を考えれば、日本以上に貧しい韓国の現地ブローカーの所業はよりえげつなかったこと予想される。騙されたり酷い目にあって連れてこられた人もいたことだろう。

 

そういった業界事情や時代背景を無視して運営を司る日本企業や軍部にすべて責任を押し付けるのは無理があろう。

 

この論理で言えば、現代日本の日雇い建設労働者や風俗業界のトラブルは全て日本政府の責任になってしまう。そして、業界的に完全にクリーンであることは厳しいのが当たり前なのだ。

 

同様のことが実習生制度にも言える。

toyokeizai.net

さも残酷に外国人を使っているように報じられているが、実際、これらの業界では日本人と同等の条件で働いているところがほとんどなのだ。

 

 

ハローワークに行ってみるといい、岡山では縫製業の正社員募集は月給12万円程度の会社がいくらでもある。地方の建設業では日当が8000円程度のところなんてゴロゴロある。

 

だから、外国人実習生がひどい目に遭っている企業は昔からこう行った条件で日本人を雇ってきたのである。いわゆるブラック企業だ。日本人社員も似たような待遇なのだ。

 

こう言ったごく少数のブラック企業ベトナムや中国といった汚い派遣国ブローカーと組むからややこしくなるのであるが、トラブルはしっかり調査して、罰則を設ければよいだけだ。

 

単純に実習生制度を廃止すれば良いというものではない。

 

考えてみてほしい。正義の名の下に慰安婦を廃止していたら、占領地における旧軍の乱暴狼藉はよりひどくなったことだろう。徴用工を廃止していれば、徴兵制で男手の足りない銃後の悲惨な日本では、物資不足でより一層凄惨な光景が繰り広げられたはずだ。

 

同様に実習生制度を廃止し、「人権」を無制限に与えれば失業保険や出産手当などを悪用する外国人労働者に日本は食い物にされることは間違いない。

 

まさに「薪を抱きて火を救う」行為。正義の名の下に日本を亡国へといざなう報道は見ていて情けない限りだ。

 

 

高齢化と経営について

池袋の痛ましい交通事故を見て、高齢化の能力の劣化について思うところがある。

 

当社が取引をしているAとB、2つの派遣組合の理事長は年齢がそれぞれ81歳と84歳だ。

 

実習生の派遣組合というのは、もともと成り立ちが古いところが多いため、トップが老人というケースは多いのだ。

 

とはいえ、2人とも業界では有名な方で、1人は政府の元高級官僚、もう1人は従業員100人を超え、海外に拠点を構える企業の経営者でもある。

 

どちらもずば抜けて知的な方で、5年前に私が2人にそれぞれお会いした際は会話も面白く、かつ人間的魅力に溢れており、たちまち魅了されてしまったものだ。

 

A組合もB組合も、下で働いてる職員の皆さんが各々の理事長を尊敬しており、「うちの理事長は元気で、とても年齢相応に見えない」と、皆さん口を揃えて賞賛されていたことを思い出す。

 

しかしここ1年ほどでこの2人に対する評価が変わり始めたことに気がついた。

 

あれほど無条件にトップを尊敬していた職員が影で「最近ボケ始めた」と言い始めたのだ。私もこのほど実際しゃべって思ったが、瞬間的にではあるが、会話が意味もなく途中で止まったり(パソコンのフリーズ)したり、内容が飛んでしまう(質疑応答が微妙に噛み合わない)時がある。

 

もちろん、初めて会った人なら気がつかないレベルだが、昔を知っている人なら「アレ?」と感じるはずだ。

 

この経験から池袋の暴走事故を見ると、容疑者の爺さんも元高級官僚だったのだから、優秀な方だったんだと思う。幼少の頃より「神童」と呼ばれるような頭脳を持っていたに違いない。

 

事故を受け、「不安なら免許返納を」と呼びかける人もいるが、論理的に矛盾している。

 

ネット上で出回っているこの統計の通り、老化の恐ろしいところは自分の能力に不安を感じるセンサー自体が衰えることなのだ。

corobuzz.com

 

だから本人は自分は昔のまんまと信じきっているのである。

 

私が住んでいる南大阪の貧困地帯では狭い路地を高齢者が自転車に乗っているのをよく見かけるが、連中は道路の真ん中に自転車を止めておしゃべるするわ、ふらふらと車道を走るわと唯我独尊の暴走族状態。

 

車がすぐ後ろに来てもまったく気がつかない。頭のセンサーが死んでいるのだ。

 

タクシーの運転手(これも高齢者が多いのだが・・)は「この辺りは、アクセルから足を離してブレーキを準備しながら走ります」とぼやく。それぐらいアブない。あちらはいつ死んでもいいかもしれないが、巻き込まれるこちらは災難以外の何物でもない。

 

先あげた高齢理事長も「まだまだ頑張らなあかん」と気勢を上げている反面、部下は「早く引退しろよ・・」とぼやき始めている。

 

だが、自転車に乗るぐらいならともかく、会社経営となるとこれは怖い。

 

会社の経営というのは大型のトラックもしくはレーシングマシンの運転のようなものである。運転を誤れば事故は甚大だ。

 

とはいえ、ボケた人に「ボケてますよ」と言っても逆ギレされるだけなのだからタチが悪い。

 

そして人間の能力は日々階段状に落ちていく。緩やかな曲線は描かない。ちょうどハイハイしていた幼児が、翌日から急に歩き出すのと真逆だ。今日できたことが、明日いきなりできなくなるのが老化である。

 

今後高齢化したトップによる「巻き添え倒産」が増えるのではないかと私は懸念している。

 

なんども書いているが、昨今のアジアが元気がいいのは若者の数が多いことが理由だ。

 

pinoyintern.hatenablog.com

 

「日本が元気がないというのはひとえにリーダーの高齢化が原因。老害は速やかに引退せよ」と提唱するべきなのだ。

 

だが、メディアも上司が高齢化している今、こんなキャンペーンをすれば若手記者は出世できなくなるであろう。

 

かように病理の根っこは深い。

 

安かろう悪かろう

先日建設関係のお客さんから。

 

ベトナム実習生は監理費を月間3万円でできるらしいぞ。お前んとこはなんでそんなに高いんだ!」

 

と電話がかかってきた。

 

こういうのは慣れっこなので私はこう答えている。「中国人なら監理費が1万円でできるところ知ってますよ。紹介しましょうか?」

 

 

 

以前もここで書いたが共産圏である中国やベトナムは100万近い賄賂を実習生候補者から送り出し機関が取る。

 

組合がこのおこぼれに預かるところも多い。だから監理費をいくらでも下げることが可能なのだ。

 

pinoyintern.hatenablog.com

 

大阪でもっともベトナム人実習生を派遣している組合の日本人オーナーは、この賄賂を自分のスイスにある隠し口座に入れて、巨万の富を築いたらしい。だが、富が大きくなりすぎて離婚したとも聞いた。

 

これに対し、意外にフィリピンは労働者保護に厳しい民主国家なので実習生が負担している費用は安いのだ。だからあんまり私は儲からない(笑)。

 

これは良し悪しで、ベトナムはそれだけ借金を抱えてくるため、容易なことでは諦めない(=根性がある)傾向が強い。

 

反面フィリピン人実習生は労働者保護の名目で甘やかされているので、日本で「観光したい、文化に触れたい」なんて甘い気持ちで来たあげく、あまりのきつい仕事にギブアップするものがいるのだ。まあ、当社はこう言った連中を除くノウハウを持っているので大丈夫だが・・。

 

さて、このたび、ベトナム人技術者を10人以上受け入れている工場の経営者に出会った。一斉に何人も転職してしまったので、次はフィリピン人を受け入れたいと当社にオファーが来たのだ。

 

だが、丁重にお断りすることにした。

 

聞けばこの技術者を招聘する初期費用をこれまで0円でやってきたのだという。入国時の航空券代すら技術者に負担させ、企業はベトナム側が送ってきた書類を入管にだせば招聘できたらしい。

 

ただで大量のベトナム人を雇えたと喜んだのもつかの間、「入国するなり数人がすぐに転職してしまった」のだ。しかし、私からしたら当然である。背景を考えてみればわかる。

 

賄賂国家ベトナムでは労働者送り出し側の人材派遣会社に50万から100万は「手数料」を積まないといけない。この他にも航空券代や健康診断費用など実費でかかる経費もある。

 

ところがこれがゼロであれば、この費用は技術者が借金してきているのだ。

 

そしてその金を貸すのが在日のベトナム人犯罪組織である。

 

彼らは「来日したらすぐに俺たちの紹介する会社に転職しろ。招聘した会社に迷惑?知るか、『転職は労働者の権利だ』と戦え!」と脅すわけである。ベトナムの金貸しによる取り立ては恐ろしいので、無視できない。契約不履行の場合は母国の家族が嫌がらせや暴力にさらされるからだ。

 

日本人の田舎社長はこんな背景を想像もできない。「初期費用ただでベトナム人技術者が雇える。うへへ」と欲に目がくらみ、しっぺ返しを食らったのだ。

 

まあどっちもどっちである。

 

フィリピンなどであればこう言った経費は全て企業が負担することになる。したがって受け入れ時のコストも高い。だが、この手の組織犯罪とは無縁だ。

 

何よりも当社の経験上、人に関する経費をケチる会社はだいたいダメである。

 

pinoyintern.hatenablog.com

 

他の経費は削っても、給与や福利厚生などで手厚くしてくれる会社は皆感謝して働くのだ。私自身が給料の安い実習生の派遣組合で働いた経験があるのでよくわかる。

 

仕事はボランティアではないので、何をおいてもお金をケチってはいけない。「外国人だから安く雇いたい」なんて考えは時代遅れなのだ。

 

追い詰めない文化

フィリピン人と接しててつくづく思うのはゆるい国であるということである。

 

まず、この人たちはお互いを責めることがあまりない。

「~しなければ」「~でなければ」という意識が非常に薄い。

 

沖縄では「なんくるないさー」というらしいが、同様の意味で「バハラナ」という言葉が広く使われる。要は成るように成る、適当でいいというニュアンスである。

 

年中南国なので、バナナも魚もたくさん取れるのだから、獲りたい奴がとってみんなで分ければ良い。寝たければそこら辺のヤシの木の下で寝ても凍死はしない。

 

貯金は不要だから、貸し借りなんて細かいことは言わなくて良い。万事ゆるーくやって近代まで生きてきたのだ。

 

 

自殺者が年間3万人というストレス国家日本は、フィリピンからこの点は学ぶべきと私は考えている。この柔らかさが、優しさや寛容さにつながるのだから、より弱者が生きやすい社会とも言える。

 

よくよく考えたら昔の日本はもっと適当だったはずで、その時代が全て悪かったとは誰も思わないだろう。

 

とはいえ、南国縄文時代のような物々交換社会ならともかく、現代社会でこの考えはいろいろと弊害が出てくる。

 

特にフィリピン人相手に金銭が絡むと、貸した方は大変だ。フィリピン人が「金貸して」と言ってくるとほぼ返さないと考えて良い。

 

南国は「所有」の概念が緩いので、金だけでなくそのへんの物を勝手に持って行ってしまう。シンガポールでも、昔、緑化政策で植樹を始めたら住民が勝手に持って帰るので政府は大変困ったと聞く。

 

つい最近、このトラブルがうちの実習生に起きた。在日フィリピン人でフィリピン食材を販売しているおばはんに金を騙し取られたのだ。

 

そもそも、この手の在日フィリピン人にろくな奴はいない。ほとんどがフィリピンパブで来日し、ビザ欲しさに日本人と結婚した下層階級ばかりだからだ。

 

ろくな教育は受けてないからモラルなんて望むべくもない。若いうちに売春まがいの商売を経験するとマトモな性格にはならない。

 

生活保護を不正に受給しながら覚せい剤不法就労あっせんなどロクでもないことに手を染めている奴が多いのだ。

 

だから入国した実習生にはまず「在日フィリピン人に気をつけろ」と警告している。

 

にも関わらずこの実習生はおばはんにフィリピンでの投資話をもちかけられ、まんまと17万円をだましとられたのだという。割り算ができないフィリピンパブ上がりにビジネスができるわけがない。アホである。

 

問題はこの後だ、実習生は「詐欺罪で訴えたいので力を貸してください」と言ってきたのだ。「アホか、日本で17万円程度のはした金で訴えるバカがいるか!あきらめろ」と叱り飛ばしておいた。

 

ちなみにこういう場合は金を取り戻そうなんて考えてはいけない。ない袖はふれないのだから、相手を追い詰めるだけである。

 

そして、17万円の借金はフィリピンでは死人が出る額だ。

 

日本式に筋や道理で追い込むと、銃社会フィリピンでは最悪の事態を招きかねない。

私のフィリピン人の義母も数千円単位の集金に行ったら相手と口論になり、仕返しに自宅を銃撃されたと言っていた(笑)。金額がでかくなると撃たれるのは家で済まない。

 

ではどうすれば良いのか。良い例がある。

 

このほど、知人の日本人女性経営者(美人)がフィリピンで交通事故にあった。相手のフィリピン人男性運転手のミスによるものだったが、お互い怪我はなく車同士が傷つく程度で済んだらしい。

 

だが、最初は謝っていたこの運転手。警察が来た途端、前言を翻し自分のミスを否定しはじめたのだという。「舌の根も乾かぬうちに」とはこのことだが、どの国の外国人もこの手の嘘を平気でつく。日本人から見たらヘドが出る行為だ。

 

この女性の偉いのは、そこで「この嘘つき!さっきと言ってたことが違うやろ!」と問い詰めなかったのだ。

 

「ではお互いが悪かったということにしましょう」と譲るのである。

 

なおかつ、この嘘つき運転手の職業がエンジニアだと知ると、「次は仕事を頼むわね」と笑顔で発言しているのだ。神か仏の所業である。私には到底できない・・。

 

だが、この寛容さこそがフィリピンで長年生活できる所以でもある。

 

本当に譲れないこと以外は「なんくるないさー精神」で譲りまくる。水に流しまくることが大切なのだ。

 

もちろん日本にいる実習生にこんな対応をしてはいけない。めちゃくちゃになってしまう。

 

しかし、相手の土俵で生活するなら、理解不能の異文化に対応する器のでかさ、許容力、人間力が必要なのである。

 

海外生活はいうほど簡単ではないのだ。

 

フィリピン選挙と若き民主主義

このほどフィリピンで中間選挙が行われ、ドゥテルテ大統領支持派が大きく議席を伸ばした。盤石の体制を整えたと言えそうである。

 

日本では知られていないが、人治国家フィリピンの選挙は実弾(カネ)が飛び交うお祭りイベントだ。努力不要、才能不要でコネが全てのこの国では、売票が公然と行われている。

 

一般大衆にとってはお小遣いを増やすいい機会だし、あわよくばコネを得て甘い汁(仕事や賄賂)にあずかりたい。

 

こんなクズどもがの欲望渦巻くイベントなので、銃を持った支持者間で文字通り実弾が飛び交うシーンも度々繰り広げられるのだ。

 

選挙がらみの死人は必ずと言って良いほど出るので、投票日は酒類の売買が禁止され、毎度日本大使館が外出を控えるよう勧告を出すほどだ。

 

中間選挙に伴う注意喚起)

https://www.ph.emb-japan.go.jp/itpr_ja/00_000832.html

 

月給2、3万円の国でありながら、上院議員選では2億ペソ(4億円)の資金が最低でも必要と言われており、田舎の市長クラスでも2000万円ぐらいの現金がいるという。

 

この金を使って一人あたり500Pから1000Pで票を売買することは公然と行われている。金を投票用紙にホッチキスでとめたり、役場で配られたりと、あの手この手で現金がばら撒かれる。

 

 

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候補者の名前と現ナマがホッチキスでとめられて配られるケース

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お菓子で釣るケース(笑)

 

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上院議員選挙の結果。4億円の現ナマを用意できる大富豪ばかり。


金をばらまいても「実際に誰に投票したかわからないのでは?」と不思議だったが、投票所にスパイがいて、誰が誰に投票したかチェックしているのだという。嘘をついて金をくれた候補者に投票しないと「選挙後に家が『立ち退き』で壊される」と知人は言っていた(笑)。

 

流石にマニラ首都圏では減ったようだが、地方ではこういうことが公然と行えるのだ。

 

この国では政治はさらにえげつないほど「家業」と化している。安倍首相や麻生太郎がトップを務める日本も馬鹿にはできないが、特に地方では親父→嫁→子供・・・と市長をたらい回しにすることが公然と行われている。さながら江戸時代である。

 

今回の上院議員選挙の結果を見ても、トップ当選したシンシア・ビリヤール議員はフォーブズにものったフィリピン一の富豪の嫁はんである。これまでは旦那が上院議員だったが、任期満了につき、嫁が引き継いだのだろう。

 

この太ったおばはんの首都圏ラスピニャス市の長を長年勤めていた親父を持ち、自身も跡を継いで市長を勤めていたらしい。親父の後を継いで市長になり、旦那の後を継いで上院議員にトップ当選というわけだ。だが何をしたのか、誰も知らない。おそらく国民は「大富豪の嫁」としか見ていないのだろう。

 

 

おかげで選挙後は「移民」の検索ワードがトップに上がったと言われている。結果に絶望し、国を捨ててまともな国に移住したいと考える人がそれだけ多いのだろう。

 

そら、周りの大多数が自分の権利を千円前後で売ることに血眼になっているのを見たら、まともな神経ではいられない。私の知人もインテリほど選挙に期待なぞせず、冷めた目で見ている感じがする。

 

とはいえ、今回の選挙で明るいニュースもある。地方自治体レベルでは若く教育程度の高い当選者がちらほら見えるのだ。

 

例えば首都圏パシッグ市では1992年から5期連続でエウセビオ一族が市長の座をたらい回しにするふざけた状態だったのだが、このたび国民的コメディアンの29歳の息子、ビコ・ソト氏が勝利した。

 

他にも首都圏マニラ市の市長に44歳のイスコ・モンテロソ氏が勝利。前職で元大統領の大物、エストラダ氏(82)を破る番狂わせだった。

 

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新市長は子供の時はスラム街のゴミ拾いをやっていたという苦労人。イケメンでスピーチを聞いていても、弁舌さわやかだ。

 

ちなみに、前職のエストラダ氏はフィリピン史上もっともアホな大統領といってもよく、日本で言えば森元首相に当たる。元トップ映画俳優という経歴を生かして政治家に転身したが、勝新太郎みたいなめちゃくちゃな人物だった。

 

違法ギャンブルの収益を得ていた疑いで略奪罪に問われ、大統領の座を追われた後にしぶとくマニラ市長に返り咲いていたが、性懲りも無くマニラ動物園内にギャンブル目的の闘鶏場を設置すると発表するなど相変わらずのパッパラパーぶりを見せていた(こういうのも森元首相に似ている・・・)。

 

しかし、モンテロソ氏は就任後のスピーチでマニラ動物園解体を明確に否定。ようやくまともな人が市長になった気がする。

 

 https://www.philstar.com/nation/2019/05/20/1919217/isko-moreno-no-plan-sell-manila-zoo

この他にも26歳の元モデルや21歳の新卒が市長に就任するなど日本から見たら驚くほど若いリーダーが登場している。若い人物は旧態依然の汚い政治にも毒されておらず、新しいテクノロジーにも明るい。フィリピンを変える可能性を持っていると言える。

 

https://www.philstar.com/nation/2019/05/19/1918988/pangasinan-elects-youngest-mayor

 

我が日本も60歳以上の政治家には人数制限するなど年齢別の枠を設けてはいいのではないだろうか?今はダメでも変わることを恐れないというのは大きな強みであり、それを可能にするのは若さなのだから。