フィリピン実習生とアレコレ

フィリピン技能実習生にまつわる雑感です。現場から見た外国人労働者との関わり、特定技能ビザの問題についても記します。

外国人労働者は会社をどう見ているか

外国人労働者受け入れについて特定技能ビザにまつわる営業活動が盛んだ。

だが、外国語もできない国際感覚ゼロの業者が、カネ目当てに飛びついてるだけ、といった感がある。

 

手を出す前に性質、気質と言うものを理解することが必要であろう。

 

私はフィリピン専門なのでフィリピン人の仕事に対する概念から説明したいと思う。

 

日本人は日本語が上手で仕事のできる外国人を見ると、お人好しだからすぐに「自分たちと同じ」と思いがちだ。

 

実に甘い。

 

途方もない大きなギャップが彼我の間に横たわっているのである。

 

例を挙げよう。

 

まず、一番大きいのは会社への忠誠心だ。

 

そもそも華僑が経済を回すアジアでは会社は労働者を一切信用しない。

 

いかにして労働者を使い捨てるか、と考える経営者と、搾取されつつもいかにしてずる賢く立ち回るか、と考える労働者の騙し合いだ。

 

だから、労働者は頻繁な転職(ジョブホッピング)が大好きである。フィリピンで労働者の面接をしたことがある人なら、必ず気づくはずだ。

 

職務経歴を見れば分かるが1カ所で3年以上働いた人間は極めて少ない。特に工場労働者や販売員といった労働者階級で見るとおそらく2030パーセントぐらいしかいない。

 

ほとんどが半年から1年少々で仕事を転々としている。

 

終身雇用は終わりつつあるとはいえ、「石の上にも3年」という日本との差は激しい。

 

なぜこんなことが起きるのか考えてみよう。

 

 

まず日本は会社が労働者を育てると言う文化がある。大卒の新入社員で言えば、学部や専攻は問わず一緒くたに採用する。

 

 

こんなことをやるのは世界中で日本だけなのだ。

 

会社は大学で学んだことなんかはほとんど無視してその人柄や潜在能力、つまりは今後伸びるか否かを重視する。そしてまっさらなキャンパスに文字を描くごとくその会社独自の色を染めあげてしまうのを好むのだ。

 

だから一般的に言って中途採用や転職者は新卒叩き上げよりも給料は低くなりがち。大手新聞社では中途採用を「外様」と社内で呼ぶと聞いた(アホ臭いが・・)。

 

だが、アメリカを始め海外では、法学部を出たら法律関係に行くし、経済学部出たらそれ関係の仕事に就くことが多い。つまり海外の会社は人を採用する時その人の将来や人格ではなく、その人の現在持っている能力に給料を払う。

 

会社は社員を育てる場ではないのだ。

 

 

アメリカ植民地だったフィリピンも同じで能力に対して対して採用を決める。

 

 

だから昇給や昇進に関しては、セミナーなど社外で学んだ実践や資格を重視する。アメリカでも社会人になったら転職の合間に自分で大学院に通ったりするのはそのせいだろう。

 

 

 

しかしこの考え方でいくとどういうことが起きるかと言うと、1つの会社で仕事をしてる限り給料は基本的に増えないのである。

 

先日マニラで実習生の両親と食事をしたのだが、彼の父親はマニラの港でフォークリフトを運転する仕事を20年続けている。しかし、給料は最低賃金(月30,000円)のまま昇給がないという。

 

 

海外の会社は基本的にこういう使い方をする。つまり長く働いても人が育つと考えていないから20年間昇給しないのである!

 

「労働者の仕事は誰でもできる。労働者は取っ替え引っ替え可能」という考えが根底にあるから、外資系企業はマクドナルドのように業務を標準化するマニュアルのレベルが高い。

 

これはベトナムも同じで、同じ職場で長く働く人は転職する能力がない人とみなされるらしい。

 

だからフィリピンのローカル会社では転職をさせたくない幹部社員と、使い捨てる社員の待遇差はえげつないものがある。

 

オーナー会社の場合、幹部候補生など優秀な人材には社用車を自家用車として貸し与えたり、経営者が所有するアパートに格安で住ませたりする。この場合「貸す」というのがポイントだ。信用なんかしていないので、転職できないようにあの手この手で縛り付けてしまう策略なのだ。

 

その反面、一般社員は転職させるがままにしている。特に引き止めもしない。

 

こんな環境で育った連中相手に転職を認める特定技能ビザを導入するのは、日系企業が阿鼻叫喚の地獄に陥ることを意味する。

 

実際に現在の日本でも、日系フィリピン人や特定活動ビザのベトナム人の料理人、といった転職できる資格で働く外国人労働者は大部分が3年間同じ職場で続かない。

 

入社時は土下座せんばかりの態度を見せるが、それはその場限り。

舌の根も乾かぬうちに転職を繰り返すものばかりなのだ。

追われる恐怖、追いつかれる恐怖

 

www.sbbit.jp

ここ4、5年フィリピンの経済発展を目の当たりにしていたが、

先日橘玲さんのこの記事を読み、私の考えていることとズバリ一致していると思った。

 

 

以前私はフィリピンは経済的に発展しないという持論だった。国内産業がなく、海外出稼ぎ労働者の送金でしか成り立たない構造なので、外国人労働者を受け入れる日本にとっては好都合。日本が労働者を継続的に受け入れるならフィリピンしかないと考えていた。

 

昨今ブームのベトナム10年前の中国と同じと言われており、アジア随一の経済成長が続いているため、日本に出稼ぎを希望する人は年々減り続けている。

 

この現状を知らないのは実習生を受け入れている日本企業だけである。

 

だが、どうやらフィリピンも思った以上に早くそうなりそうだと恐怖を感じはじめた。

 


年後はまだ大丈夫だろうが、10年後はもはや怪しい。

 

以前、私がフィリピンが伸びない国と判断していた理由は

 

①教育レベルが低い

英語とフィリピン語および地方言語に分断されているため、統一された母国語が不完全という言語ハンディキャップ。また、「できない奴はほっておけばいい」という米国モデルの切り捨て型教育なので、国民のおそらく8割程度が桁の割り算や引き算が怪しい。

なまじ英語ができるだけに優秀な人材は海外に出て行ってしまい、国にはダメな人しか残っていない。

 

 

400年前から続く財閥による政治構造

旧宗主国スペイン系や華僑といった1割の財閥が9割の土地を握り、政治は金持ちの家業。コメや鉄も華僑の財閥がカルテルを組んで価格を釣り上げ、庶民は搾取されるがまま。金持ちは脱税も殺人もやりたい放題の法の外で生きていける。

 

貨幣経済に向いていない非論理的な思考とのんびりとした民族性

民族的特徴で論理でなく右脳=感情で判断するので、論理的な思考能力が弱い。

自らを律して成長させることよりも、快楽に身を任せ、本能のままに過ごすことを求める人の割合が他国と比べ極端に高いのだ。分かりやすくいうと怠け者。

 

と見ていた。

 

だが、近年これを改めねばならないかもしれないと思い始めた。

 

それは平均年齢24歳という「若い人々のポテンシャルの高さ」である。

 

良い例が韓国である。私の叔父で大阪でガス設備会社を経営しているものがいるのだが、40年ほど前の高度経済成長期に韓国人をたくさん雇っていたという。

 

とはいえドヤで拾ってきたようなビザも怪しいゴロツキで、飲む打つ買うしか興味のない民度の低い連中だったらしい。

 

当時を振り返り、この叔父は「韓国人は嫁がしっかりしている場合成功した。男はダメなやつばっかりや」と馬鹿にして笑う。

 

つまりは団塊の世代の日本人が貧しかった当時の韓国人に抱くイメージは「自堕落でダメな男。女は多少マシ」なのだ。我々がフィリピンに抱くイメージとまったく同じだ。

 

だが、今や韓国の経済成長は目覚ましい。

 

ベトナムやフィリピンといった東南アジアのリゾートは韓国人で溢れており、現地で不動産を買うのは中国人の次に韓国人だ。我々日本人が道をあるいても「アンニョハセヨ」と声をかけられる。

 

フィリピン人が韓国の工場に出稼ぎで働いた場合の給料は月給18万円程度らしい。社会保険がこれだけ高くなった今、手取り18万もらっている日本人の工場作業員は少ないだろう。

 

もはや先進国入りした韓国は東南アジア諸国から羨望の眼差しで見られているのだ。

 

 

フィリピンも同じで若い人は比較的まともなのが増えている気がする。

 

送り出し機関のスタッフは夜遅くまで仕事をしているし、責任感も強い。市内中心部の高級外資系レストランならサービスもマシになっている。ため息をつきながら働いている馬鹿者は、まともな店ではもう見かけない(ローカルにはまだ、たくさんいるが・・)。

 

特に進歩を感じるのは庶民の結婚観だ。20年ほど前は30代で独身の男は間違いなくゲイだった。デブでもハゲでも結婚率は高かった。

 

エンジニアや教師といった知的労働者の女性が、プータローの彼氏や旦那を養っているという風景をよく見かけた。

 

 

カトリック教徒の教義上、避妊が禁止されているため子供は6人前後がざらで、12人兄弟なんてのも見かけた。貧乏子だくさんを地で行っていたものだ。

 

ところが、近年子供の数は2、3人。教育制度も改善され、高卒年齢は16歳から18歳に伸びたので底上げが始まった。

 

財閥支配は続いているとはいえ、近年3040代の地方自治体の長が生まれている。若い世代のエリートはSNSや旅行などで先進国の常識に慣れ親しんでいるため、縁故主義で腐敗したフィリピンを改善しようとする意欲は高い。民度が上がっているのだ。

 

つい先月起きた火山の噴火でも、避難所が綺麗なテントになっていた。わずか7年前の台風被害では段ボールハウスで雑魚寝を強いられていた国が、である。寄付される支援物資もエコを意識したものが出てきている。つまりは先進国に短期間で近づいているのだ。

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左が7年前の台風時の避難所。右が今年の火山噴火の避難所

取引先のとある企業は「フィリピン人は5年後には日本に来なくなる」と危機感を持っていた。

 

安い労働力としてフィリピンを見る時代は徐々に終わりつつあるのである。当社も事業のあり方を変えていかねばならないかもしれない。

おそるべしベトナムのサービス業

ベトナム中部ホイアンに年末旅行した。

近年は中韓のやかましい観光客でいっぱいと聞く中心部を避け、地元の知り合いに紹介された市街地はずれのホテルに1週間宿泊した。

 

4年前開業したばかりで、プールは付いているが部屋数は10部屋程度のこじんまりしたプチホテルだった。30代前半のベトナム女性を筆頭にオーナー一族が経営している。

この若いオーナーは英語を話し、日中、常にカウンターに立ち続ける。

綺麗な植栽のホテルの庭はチリひとつ落ちておらず、道路側の窓は騒音防止で2重にされており、洗面台は日本のIN●X製と要所要所にこだわりが見える。

塗装など細かな内装は日本より劣るとはいえ、一泊1万5千円クラスになるフィリピンの五つ星ホテルと同等のクオリティだ。

 

Wi-Fiは各部屋に別々のルーターが付いており、動画を余裕で視聴できる。

客はほぼ白人ばかりなので騒音もなく快適である。

これで、一泊4000円代…。

 

さらに驚くべきはそのサービス。

生後5ヶ月の赤ん坊が部屋でぐずっているとオーナーは「ロビーに降りてきて」と私に声をかけ、母親など家族全員で抱いてあやしてくれた。

別の日に6歳の長男が腹を壊して脱水症状になったのだが、カウンターの女性スタッフは夜10時に救急病院まで付き添ってくれた上、病院までのタクシー代を「後でいいから」と立て替えてくれた。

感激して後でチップを渡したら「多すぎる」と返しに来た(笑)。

 

「オモテナシ」は日本だけのお家芸ではないと痛感させられた。

 

そういえば救急病院のサービスにも驚いた。点滴で2万円は取られる私立病院だからかもしれないが、待ち時間0で血液検査と点滴をしてくれたのだ。日本の病院よりも処置が早い!

病室も清潔。ついてくれた20代の太ったメガネ看護婦は笑顔こそないものの、テキパキと無駄なく動く。

ベトナムの 病院は賄賂を渡さないと治療してくれないと聞いたので、チップを渡そうとしたが、こちらも拒否された。

なんというか、日本よりもサービスがいいとは言わないが、フィリピンとは比べるのが失礼なレベル。

 

これがフィリピンなら、ホテルなどサービス業のオーナーがカウンターに立ち続けることはまずないだろう。自分は海外にでも遊びに出かけ、ほったらかされた設備は故障ばかりで、スタッフは勤務中もスマホ漬けのはずだ。

第一、「客のタクシー代を立て替える」なんてことはスタッフはもちろんオーナーですら絶対にしない。もらったチップが多いから返しに来るなんて発想自体ないだろう。

 

救急病院もしかり。夜勤の看護婦はスマホいじりに忙しく、こちらが怒り狂って圧をかけるまで待合室で患者を放置することは間違いない。

ベトナムは伸びる。としみじみ感じた年末だった。

フィリピン人の頭の中

マカティ市に出張中、携帯の調子が悪くなったのでショッピングモール内の修理屋に持ち込んだ。

 

ビジネスセンターのど真ん中にある綺麗なモールは1階に高級時計やファッションブランドがひしめくのだが、建物端っこの上層階にいくと、胡散臭い中国製携帯部品を所狭しと並べた修理屋が集まっている。

 

こちらの顔を見ると元気の良い呼び込みがかかるが、服装といい顔つきといい、スラム街にでもいそうな面構えの連中だ。

 

だが、この国では修理はこういった連中の得意分野。そもそも綺麗なサービスセンターなぞ存在していないので背に腹は変えられない。

 

呼び込みに誘われるまま太ったおっさんのいる店で修理を依頼した。

 

携帯をざっとチェックしたおっさんは「1 時間後に出来上がるよ」とのたまう。こう言う時にあっさりと信じてはいけない。どローカルのフィリピン人は「適当」という言葉と一緒に生まれてきたような連中ばかりなのだ。

 

たぶん無理だろう。と考えた私はゆっくりと時間をかけてモールで時間を潰して戻ってみた。

 

そして1時間半後。

店を覗くとおっさんは発泡トレーに入った不味そうなローカル飯(実際にまずい)を頬張りながら「(モグモグ)あと1時間半な」と適当に言う。

おそらく作業を始めてもいない。

ここで怒ってもいけない。ある意味想定内だ。しょうがないのでまた時間を潰す。

 

さらに2時間後。

 

私の顔を見るなり、おっさんは「修理が難しいから云々」とお得意の言い訳を始める。もう慣れっこなので適当に聞き流す。

 

私「それで?いつよ?できるのは」

おっさん「2時間半後」

私「2時間半!?」

 

ここで日本人の常識から言えば「最初の1時間は何やってん?」と激昂するところだが、この手の連中にキレても得はない。

 

そもそも自分の発言に責任を持つという概念がないのだ。「自分はやった」という理由づけ(言い訳)が大切でその結果、できなくても「自分は悪くない」と考えるのが彼らのパターンである。

 

こう言う手合いにはこちらも話半分で付き合うしかない。今日中には出来上がらないと踏んだ私は翌日に再訪することにした。

 

翌朝11時。

 

店にはメガネのチビなオナベが一匹たむろしていた。おおかたおっさんの親戚のプータローである。メガネオナベは「おっさんは昼過ぎにくるよ」と言うなり携帯ゲームに集中し始める。

 

日本でも「ダウンロード無料!」を謳う携帯ゲームの愛好者はパチンコ愛好家とかぶるらしい。要はヒマで頭の悪い連中が没頭するのだ。

 

国民の大多数がフリーターかニートみたいなこの国では、この手の携帯ゲームの愛好者は腐る程いる。なにせ時間だけは無限に余っているのだ。スラム街に行けば中華製安物スマホで延々と遊ぶ姿を見ることができる。

 

こんなやつの言うことを信じるほどこちらもおぼこではない。絶対に昼過ぎに来ないとみた。

 

私「とりあえずおっさんに電話しろや」

メガネオナベ「番号知らん」

私「お前のボスやろ?誰かに聞いてこいや」

 

めんどくさそうに近所の店に聞きに行ったが、戻ってくるなり、「携帯のロード(プリペイド残高)がにないから電話できない」とゲームを続け始めた。

 

・自分のいる店のオーナーの連絡先を知らない

・番号を聞いてくるが電話する気がない

こいつは意味不明レベルの完全なアホである。とはいえ、この類は国民の3、4割を占める。

 

あと、余談だがフィリピンのオナベは女に貢がせて生きているヒモみたいなクズがたくさんいる。こいつもその手合いなのだろう。

 

 私「待て待て、俺の携帯使っていいから。つか、ゲームやめろや」

メガネオナベはようやく私の携帯で電話し始めた。でもスピーカーフォンでしゃべりながらゲームは続けている。こちらの顔は見もしない。

 

おかげで携帯電話は入手できたのだが、こいつは「おっさんは昨晩あんたを待ってたのよ」とこちらが悪いかのような発言をする。

  

私が「2回納期を伸ばしたのはおっさんやぞ」と反論すると。黙る。

 

だが、こう言いいかえしてもこの手合いはなーんも応えていない。つか、何も感じていない。フィリピン人の大多数は反省とか改善は頭にないのだ。

 

 

過去ベトナムとフィリピン両国の市場調査に訪れた人は「ベトナムに比べてフィリピンの店員の知識と労働意欲は話にならん」と言っていたが、まさにこれがスタンダード。

 

それでもこれで好景気なんだから、何かがおかしい。

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ゲームに夢中なメガネオナベ

 

ITスタートアップはセレブの趣味

マカティで行われているスタートアップコンペを見学に行ってみた。

 

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IT関係のスタートアップへの投資を募るため、若者が企画したビジネスプランをプレゼンするイベントである。

 


主催者はマサチューセッツ工科大卒のエリート。知り合いがメンター(指導)役をやっていたので誘われたのだ。

 

 

 

参加者はアテネオ(慶応に当たる)、デラサール(早稲田)、フィリピン大学(東大)といった一流大学の学生が中心で20人ほど。5つのグループが応募してきているらしい。

 


だが、マカティの一等地にあるイベント会場に入って違和感を感じた。

 


参加者のMacBook所持率が異常に高いのだ。見たところ半数はピカピカの高級ノートパソコンを所持している。

 

 

 

だが、最低15万円以上するMacは日本でも学生が気軽に買えるものではない。月給3、4万円、地方では月給2万円以下も珍しくないフィリピンで、学生が颯爽と広げている姿は異様ですらある。

 


つまり彼らは上位数パーセントの富裕層に属する家庭の子なのだ。

 


一生働かなくてよい高等遊民レベルの子達も何人かいるに違いない。

 


毛沢東は「夢があること、若いこと、貧しいこと」を成功の条件としていたが、親から庶民の月給の半年以上するノートパソコンをもらい、毎月5,000円(高い)はするネット環境が自宅にある学生はこの国では完全に勝ち組だ。

 


大学を出れば、親のコネでこれまた庶民からみたら考えられない給料をもらえる仕事にありつけることだろう。

 


それどころか、ファミリーのコネで欧米へあっさりと移民するに違いない。

 


フィリピンのネット速度はカンボジアと同程度なのに、価格は日本と遜色ない。だから、庶民はネットカフェに通うしかない。

 

その反面、高級自家車を何台も持ち、数ヶ月おきに海外旅行を楽しむ輩がいる。

 


この環境では国民の大多数を占める貧しく、なおかつ優秀な人物がどれだけITの起業家として挑戦する機会があると言えるのか?

 


ちなみにこのコンペ。昨年はヴィーガン菜食主義者)向けアプリをつくったグループが優勝したらしい。

 


地方では食べ物がない人々がいるこの国で菜食主義…。

 


なんというか。こういう連中が大したことができるとは思えないのだ。

 

 

 

新マニラ市長は将来の大統領か(2)

(前回の続き)

 

格差社会フィリピンでも貧困層上がりの政治家は他にも存在した。

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有名どころでは首都圏の最大のビジネス街、マカティのビナイ元市長だ。太ったなまっちろい顔か中国人顔(華僑)が多いこの国の政治家には珍しく浅黒いマレー系の顔をしていることからわかるとおり、貧しい家庭に生まれている。

 

苦学して日本の東大に当たるフィリピン大を卒業して弁護士となった優秀な人物で、1988年からマカティのトップを務め、同国最大のビジネス地区に発展させた立役者だ。

 

だが、この国の貧困層上がりのリーダーは皆、成り上がるや否や頭を悪いことに使い始める。

 

任期満了後は、市長の座を嫁→息子→娘と同族でたらい回しにして市長の座を私物化。バブル経済の恩恵にあずかるべく、同市内で新築された全コンドミニアムに1部屋をプレゼントさせていたまで言われている。

 

newsinfo.inquirer.net

 

東京でいえば丸の内のマンションすべての一室を市長に献上させた形だ(笑)。目もくらむばかりの財力を得て一時は飛ぶ鳥の勢いだった。2016年の大統領にも出馬し、下馬表ではトップだったにもかかわらず上記の汚職疑惑が噴出し、落選してしまった。

 

何が言いたいかというと、この国の政治家は日本と比べ物にならないくらい悪く(ただ、その分日本の政治家以上に金持ちだ)、市民の味方なぞ幻想に過ぎないのだ。口では偉そうにいうが、私腹を肥やす馬鹿者だらけである。

 

首都圏最古の都市、マニラ市も同様。前市長は元大統領のエストラダ氏が6年にわたって務めてきたが、彼は日本でいえば勝新太郎森喜朗を足してさらに頭を悪くしたような人物だ。

 

違法賭博などの献金10億円以上を着服した罪で大統領の座を追われ、最悪終身刑だったのだが、その後なぜかうやむやになり、市長として復活した。

 

勝新太郎みたいに俳優としては国民的人気があるのだが、なにせ勝新だから、愛人の数は10人と公言するわ、ギャンブルは大好きだわと無頼そのもの。

 

マニラ市長時代は1959年に作られた歴史あるマニラ動物園を民間に売却して、賭博目的の闘鶏場にするなどととんでもないことを言いだしていた。おおかた中国人から賄賂でももらったのだろう。

 

知人にエストラダ元市長のスピーチライターがいるのだが、「難しい。単語が読めない」と書き直しを命じられることに閉口していた(笑)。そのぐらいアホである。

 

しかし、モレノ新市長は違った。就任するや否やマニラ動物園の保全を発表。「市民の憩いの場を賭博場にはしないし、売却するつもりもない」と明確に語ったのだ。

 

次にわずか数日で市内最大の屋台街ディビソリア地区の一掃して見せた。

 

日本でいえばアメ横にあたり、ウエディングドレスから家具まで揃わないものはないといって良いくらいの巨大屋台街だが、スリやひったくりも多く、決して日本人に馴染みのある地域ではない。

 

ここは道路上に屋台が溢れ、事実上の歩行者天国状態になっていた。

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マニラのアメ横ディビソリアの違法屋台。右が撤去後

だが、昨今首都圏で問題となっているのが狂気と言って良いほどの渋滞。10年前なら30分程度の距離でも現在は下手すれば2〜3時間はかかるだろう。通勤に2時間以上かかる人も珍しくない。

 

背景にあるのは経済発展に後押しされた自家用車の急増。ここ10年で車の数は10倍ぐらいに増えたのではないか?

 

マニラ首都圏は人口1300万だが、周辺人口合わせて3000万人の都市といわれる。人口だけなら東京以上の規模だ。

 

そこを走る鉄道はわずか3本のモノレールのみ(2019年現在)なので、公共交通の不備→自家用車を買う→渋滞悪化→不便なのでさらに自家用車が増える→渋滞悪化といった現象が起きている。

 

これを踏まえて同市長は道路の違法建築や屋台一掃に乗り出したのだ。

 

この過程で反対する違法屋台業者から、1日500万ペソ(1千万円)の賄賂申し出を拒否したことも明かしている。

 

続いて、「学校、バスケットコート、病院などに政治家の名前をつけたり校内に書くことを禁ずる」と発表した。

「建設に使われたのは政治家のカネではない。市民の金(税金)だ」「教育の場に政治を持ち込むべきでない」とも。

 

日本から見るとピンとこないが、フィリピンでは税金はおろか、海外からの援助で建てられたものにも政治家が自分の名前をつける公私混同が横行している。

 

ありとあらゆる公共事業には「●●市長のおかげで」と仰々しく垂れ幕が掲げられ、ぶよぶよに太った政治家の醜い笑顔は町のいたるところで見られる。

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税金で送られた救援物資にすら市長の名前を入れるクズっぷり。

 

まさにやりたい放題だ。

 

これは、そもそも政治家も公務員も権力者は皆「神から与えられた特権」と考えているからだと思う。

公僕や血税なんて言葉は考えたこともないのだ。税金=上納金ぐらいにしか考えてない。

 

だが、国民も国民で、そんな権力者にこびて自分も甘い汁の残り物に預かることが最大の関心事。実際、実習生にこういった話をしてもピンとこないようだ。「市長はエライひとだからしょうがない」ぐらい認識である。

 

おそらく縄文時代に毛の生えた程度の部族国家からいきなりアメリカやスペインの植民地になり、お仕着せの民主主義を被せられたので、頭の中が部族のままなのだ。(まあ、日本の田舎のおっさん、おばはんも似たようなところはあるが)。

 

そんな民主主義の失敗国家と呼ばれるフィリピンに、「賭博よりも教育」「賄賂よりも秩序」「公僕と血税」といった概念を理解している新世代のリーダーがついに出てきたことを意味する。発言がいちいちマトモなのが新鮮なのだ。

 

私はフィリピンの政治はジョークだと長年考えていた。しかしもはやその認識を変えねばならないかもしれない。

 

日本もこんな若く、優秀なリーダーが出てくるべきなのだが…。

 

 

 

新マニラ市長は将来の大統領か?

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イケメンで44歳新生代のリーダーだ

首都圏マニラ市の新市長、イスコ・モレノ氏(44)が注目を集めている。就任するや否や、次々とメディア受けする政策を打ち出したのだ。わずか10日ほどの間に以下のような政策を発表。

 

・首都圏最大の屋台街ディビソリア地区の違法屋台撤去

・下水道の掃除と市街の清掃活動

・市長直通のホットライン開設

・違法屋台から賄賂をせしめていた警官9名の解任

・公共施設に政治家の名前を記載することを禁止

・マニラ動物園、公園の保全の確約

 

 

今や彼の働きがメディアの話題をさらわない日はない。

 

元俳優のイケメンなのでテレビ映えすることもあり、SNSでも賞賛の声が高まっている。いささか気が早いがこのまま行けば次期大統領になる可能性も高いだろう。

 

注目すべきはその生い立ち、首都圏マニラ市のスラム街、トンド地区で育った。貧困層の家庭に生まれ、 10歳からゴミ拾いをして生計を助け、レストランのゴミ箱から食べ残しを集めて夕食にするような幼少期を過ごしたという。

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貧民街での人気は絶大だ



貧者と超富裕層といった格差による身分制度が存在し、政治が金持ちの家業と化したこの国ではこのような出自の人物が首都圏の市長になるのはほとんど奇跡だ。

 

 

ハンサムな容姿のおかげで19歳の時にテレビ番組のスカウトを受けて芸能界入りし、俳優として活躍。キャリア全盛期にも関わらず、23歳でマニラ市議に当選して政界への道を歩み始めた。

 

当初は俳優上がりの高卒と見下されたこともあったそうだが、市議を務めながら大学を卒業。その後も複数の大学で政治について学び、2007年からはマニラ市の副市長に当選した。

 

注目すべきはその政治キャリアだ。

 

元警察官僚で内務自治長官のアルフレッド・リム(2007~2013)、元大統領のジョセフ・エストラダ(2013~2019)という全くタイプの両市長に副市長として仕えていたのだが、この二人は全くタイプが違う。

 

日本でいうなら後藤田正晴森喜朗元首相みたいなもんである。かたや切れ者でかたやパッパラパーだ。

 

切れ者リムに仕えていながら、フィリピン史上最悪のアホ大統領でありながら、国民的映画俳優で人気者のエストラダが市長選に出馬すると、あっさりと勝ち馬に乗り換えるえげつなさ。さらに、今年の選挙では再選を狙うこの二人蹴落として市長に就任して見せたのだ。いわば元ボス二人を公然と裏切って見せたのだ。

 

 

ハンサムな外見に似合わず仁義なき闘いができるタフさを持っている。日本の坊ちゃん政治家にはないしたたかさだ。

 

ちなみに、フィリピンの芸能界は金持ちの息子や娘だらけだ。さらにテレビ業界関係者にはホモが多く。私の知人の元モデル男性はホモプロデューサーのセクハラに耐えかねて、芸能界をやめたと言っていた。

 

スラムから成り上がった彼が華やかな芸能活動の裏で相当しんどい思いをしたことは想像にかたくない。

 

日本の発展を支えた戦後の政治家には田中角栄のように貧困から成り上がった人や、戦争で地獄を見た経験をした苦労人が多かった。モレノ氏同様、知性だけでなくタフで狡猾な部分も併せ持っていたことだろう。

 

こういう人はそう簡単にはくたばらない。清濁併せ吞む頼もしいリーダーである。

 

’(続く)