フィリピン実習生とアレコレ

フィリピン技能実習生にまつわる雑感です。現場から見た外国人労働者との関わり、特定技能ビザの問題についても記します。

マニラの日系タクシー会社訪問記

f:id:pinoyintern:20150618230535j:plain

今回の出張で、以前から気になっていたRyoaki taxiの社長にご挨拶させていただきました。

劣悪なマニラのタクシーに日本のサービスノウハウを持ち込んだことが奏功し、所属タクシーを3年で5台から400台まで急成長させた名物経営者だが、現在はタクシーの無料化(!)を目指しているという。

 

 

元大手製造業の駐在員としてフィリピンを訪れた社長にタクシー業界の経験はなかった。このため、同社のタクシーにはWifiタブレットが完備されている。経験がないからこそ常識にとらわれないサービスを提供しているのだ。

 

お話を伺って驚いたことは

・首都圏近郊も合わせたマニラ商圏の人口は2700万人(!)。

・タクシーの台数はわずか1万7千台しかない。東京は5万台

・利用する人は中間層にあたるため、スマホ普及率はほぼ100%(統計ではフィリピンのスマホ普及率は10%程度)。

・平均乗車時間は30分(地下鉄やまともなバスがないのでタクシーは中間層の足。通勤に使う人も増えている)。

というデータ。

 

だが、渋滞のひどいマニラではタクシー車内でやることがないため、広告雑誌やタブレットで流れる広告を見る確率は非常に高い。これを生かし、将来的には乗車料金を無料にしても広告で収益をまかなうビジネスを考えているという。

 

確かにマニラの広告産業は巨大で、壁面いっぱいに液晶の動画広告が流れるビルもある(年間1兆円規模の産業らしい)。その中で、タクシーは購買力のある中間層に特化した広告媒体となりうるのだ。今後中間層に営業をかけたい日系メーカーなどにとっても魅力的と言える。

 

 

しかし、使ってみてわかるが同社のタクシーは運転手の態度が非常に良い。この業界には珍しく、運転手を社会保険に入れてあげたり、困っている者には会社がお金まで貸すなど信頼に基づいた日本的家族経営を行っているのが根底にあるようだ。

 

 

フィリピン人の奥様もビジネスパーソンとして優れており、毎朝3時のタクシーの発車開始には誰よりも早くでて見送りを欠かさないという。内助の功。うーん。勉強になった。