フィリピン実習生とアレコレ

フィリピン技能実習生にまつわる雑感です。現場から見た外国人労働者との関わり、特定技能ビザの問題についても記します。

アブナイ国フィリピン

フィリピンと言えば、必ず聞かれるのが治安問題。曰く「誘拐される」「強盗に手を切り落とされる」云々。

 
前、話を盛る傾向のある社長さんは「(フィリピンで)ワシの目の前で人が撃たれるのを見たでぇ!」と話していた。
 
が、これらの話はウソである。
 
私は4年マニラで生活し、うち3年は新聞記者として毎日のように事件や事故を取材した。ロクな遊びも知らない20代の身で、夜ごと盛り場も彷徨った。
 
しかし、被害に遭ったと言えばスリに携帯を取られたくらいだ。マニラに住んだこのとあるビジネスマンなら、同じことを言うはずだ。
 
南部ミンダナオ島の一部エリアにはイスラム教徒との紛争地帯があり、アルカイダの支援を受けたゲリラもいる。ただ、ここはいわば、日本でいえば沖縄の離島みたいな辺境で、マニラから見たらほぼ外国である。従って観光やビジネスで行く人には無縁と言ってよい。
 
しかし、世界最高の治安を誇る日本は置いといて、他のアジア諸国と比べるとどうか?
 
例えばベトナムに行くと、ホーチミンハノイを女性が深夜歩いてもまったく問題ないことに驚いた。マニラではありえない。
 
つまり、言われてるほどではないが、やはり治安は良くない。誘拐や殺人はまれとは言え、場所によっては武装した強盗に遭うことは珍しくない。
 
また、毎年5〜7人は日本人が殺されている。合計すれば、日本人が一番多く殺された国ではないかと思う?
 
では、何故治安が悪いのか?
 
理由は①オンナ②銃③警察がバカーーである。
 
まずは①、セブはともかくマニラのアクティビティーなんて飲む・打つ・買うしかない。しかも、団塊のオジさんにとって、マニラと言えば往年の売春ツアーの聖地。
 
今もマニラの盛り場マラテを彷徨う日本人は、過去の栄光にすがる60〜70歳のヨボヨボ、ガニ股の爺さまばかり。それも、決まって孫みたいな年齢のフィリピン女を連れている。
 
つまり、マニラに行く日本人観光客は歌舞伎町やミナミみたいな盛り場とオンナ目当てなのだ。トラブルに遭わないのがおかしい。
 
そして②、元アメリカ植民地だけあって、銃の所有は基本自由。ショッピングモールで普通に売られている。
 
密造銃もたくさん出回っており、「家の前に銃の密造工場がある」「金貸したら、担保にライフル持って来た」なんて会話は日常茶飯事。
 
だから、ショッピングモールや銀行ではショットガンを持った警備員が必ずいる。拳銃程度では護衛にならないのだ。アジアの国でこれほどまでに街中に銃が溢れる国はない。異様な光景である。
 
そして、他国と一番違うのが治安機関のアホさ③である。フィリピンの警察を一言でいうと、日本のヤクザ。組織犯罪集団なのだ。
 
フィリピン人に警察のイメージを聞くと「愛人がたくさんいる」「威張りたい人がなる仕事」と言う(笑)。
 
何せこの国で身代金目的の誘拐や覚せい剤売買、違法賭博といえば100%警察(か元警察)が背後にいる。中国やベトナムで、こういう凶悪犯罪は政府や警察にコネを持つマフィアの仕事だが、フィリピンは警察が直接やる(笑)。だから、フィリピンにマフィアは存在しないのだ。
 
それは盛りすぎと思うかもしれないので実例をあげよう。例えばフィリピンでは、捕まった容疑者が警察の護送中に射殺にされる事件が定期的におこっている。
 
決まって「奪還に来た仲間の犯罪者と撃ち合いになった。巻き添えだ」と釈明するが、護衛の警官は誰も死んでいない不思議。
 
犯罪者の背後にいる警察による口封じなのだが、こんな小学生みたいな言い訳をするのは、本当にアタマが悪いからだ。
 
せめて、護衛の警官に「名誉の負傷」をさせるくらいしないと現実味がないと思うのだが、痛いのが嫌いなフィリピン人にそんな根性はない。
 
そもそもフィリピンの初代国家警察の長官はアメリカ人のマッカーサー。植民者の手先として、奴隷を弾圧するために作られたのが、この国の警察や軍隊である。誰からも尊敬される訳がない。
 
従って、日本人が殺されてもまずロクな捜査しない。「パトカーのガソリン代がない」とか平気で言うくらいである。
 
この国で人を殺しても少し上手にやれば捕まることは無い。それを考えればやはり怖い国と言える。

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