フィリピン実習生とアレコレ

フィリピン技能実習生にまつわる雑感です。現場から見た外国人労働者との関わり、特定技能ビザの問題についても記します。

犯罪の種類

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銃の所持が認められ、治安の悪さでは東南アジア最悪とまで称されるフィリピン。殺人件数は年間1万件を超え、日本の10倍近く多い。強盗や傷害事件まで含めたら日本の100倍くらいあるだろう。

 

フィリピン国家警察の幹部にインタビューした際、殺人の統計データについて聞いてみたことがある。その時のやりとり。

 

私「昨年より殺人件数は増えてますが・・」

警察「それは国民が警察を信用し始めた証拠だ!」

私「は?!」

警察「これまで報告されていなかった事件を市民が報告し始めた。だから件数が増加したように見えるんだ」

 

つまりこれまでは他殺体が上がっても警察に届け出ず市民が黙って処理していたと言いたいのだろう。

もう色々無茶苦茶すぎで会話が成り立たない。こんなアホなおっさんでも警察本部長クラスだったと記憶している。

まあ、日本も森元首相みたいなのがいるから無条件に馬鹿にはできないが・・。

 

それはさておき、警察が馬鹿なおかげで犯罪者天国であるのは間違いない。フィリピン人と話していると、家に強盗に入られた話やジプニー(乗り合いバス)で拳銃を突きつけられたなんてのは良く聞く。先週乗ったタクシーの運転手も「4人組の乗客に銃を突きつけられ、売上を取られた」と嘆いてた。この国の深夜労働は命がけである。

 

しかし、私はこれらの事件を取材していてハタと思ったことがある。

 

フィリピンは事件の数こそ多いが、動機が金か覚せい剤がらみと相場が決まっている。だから、金さえわたせば犯罪に巻き込まれても大事には至らないことがほとんどなのだ。

裏返せば大多数の犯罪は国民が豊かになれば減少することが皆わかっている。解決策が明確なのだ。

 

翻って日本はどうか。数は少ないが犯罪の多くが理解不能なものが目立つ。

2001年に附属池田小学校事件(小学生の無差別殺害)が起きた際、記者時代の上司に「宅間被告(当時)みたいな人物はどうしたら良いのか」と聞いてみたが明確な回答はなかった。

当時の報道は宅間がいかに卑劣で、生まれながらにして最悪の人物かについての言及ばかりだった。そして事件後わずか3年で死刑執行。

 

だが、である。素晴らしい人がいるということは、このようにどうしようもない人間も必ず存在するということである。そういう人物は、社会から駆除するだけで良いのか。それはナチスドイツと同じ考えになるのではないか・・。

この問いに対する解決策の一つをフィリピン社会は内包しているような気がするのだ。

(続く)