カニ根性とマネジメント(その1)
フィリピン人は「Crab mind(カニ根性)」と呼ばれる気質がある。
蟹を丸いカゴに入れると、お互いの足が邪魔になって外に抜けだせなくなるらしい。足を引っ張り合って貧困から抜け出せない彼らの状態を表現した言葉だ。
実際に仲間内で差をつけられることを極端に嫌がる。現地工場では社員に給与格差をつける時は、オープンなわかりやすい仕組みにしないと深刻なトラブルを招くことがある。
知人で現地工場を営む日本人は、フィリピン人幹部に対する現場労働者の不満から労働争議になりかけた、とこぼす。日本人が少々乱暴なマネジメントをしてもこうはならない。
反面、外国人には従順だ。過去中国の反日デモで「日本人マネージャーの給与は労働者の50倍。不当だ!」と参加者が叫んでいるのを見て驚いた。フィリピンでこんなことを不満に思う奴はみたことがないからだ。
だが、フィリピンは400年前から続く植民地国家。独立だってアメリカのお情けでさせてもらったようなもの。外人の下で働くことが身に染み付いている。むしろそんなお金持ちと結婚して海外に出たいと考えるのだ。根本的に中国やベトナムとは発想が違う。
この気質の背景には長い占領下で歯向かう気概のある奴が皆殺しにされたからではないかと私は思っている。
なにせアメリカに占領される過程では、母国でインディアンをレイプ&虐殺した連中がなだれ込み、20万人から150万人が殺されたとされている。ちなみにこんな歴史はフィリピン人は教えられていない。教育制度を作ったのはアメリカ人だからだ。
(続く)