「外人お断り」の不動産(その2)
(前回の続き)
水道すらない過酷な環境からきた外国人実習生が、まるで無人の街のように静かで秩序立った日本の住環境を理解できるわけがない。
しかし、入国後はオリエンテーションでゴミ捨てなどルールを各組合は指導している。意外に思われるかもしれないが、実習生はゴミ捨て方で揉めることは少ない。
一方、留学生や日系人はこの手のオリエンを受けていないのでめちゃくちゃする。一口に外国人といっても在留資格によって起きうるトラブルはぜんぜん違う。
ゴミ捨てなどは近所の目が厳しいが、組合として管理していて腹立つのは寮の汚さ。中でも国籍別ではベトナムの不潔さが群を抜いている。
ベトナムはニョクマムという魚醤をありとあらゆる料理に使うのだが、発酵させた魚からできているので、匂いがキツイ。これを炒めると油や匂いが宿命的に壁にこびりついてしまう。
教育レベルの高い四年制大学の留学生や在日のベトナム人は、換気扇をうまく使ったり、使用量を調整したりと工夫をするのだが、実習生や語学留学生は換気扇の存在自体を知らない。昔の日本同様、貧しい田舎の台所は半分屋外みたいな位置にあるからだ。実家がキャンプ場みたいなもんである。
だから一年も経つと、壁は映画エイリアンさながらにネチョネチョになる。そしてゴキブリが住み着く。あまり知られていないがベトナム人実習生の寮とチャバネゴキブリはペアといってもいい。
布団をめくると数十匹がカサカサカサ!と走り回るなんて日常茶飯事。(一匹や二匹ではない!)ひどい奴になると寝ている間に耳の中にゴキブリが入って病院行きになった奴までいた。
そんな布団にコンドームが落ちてたりする。ベトナム人の男女はこんな布団でできるのか!!と驚愕したくらだ。
ちなみに異常に汚い比率はベトナム実習生の10人に1人くらい。ベトナムを受け入れる企業はゴキブリと戦う覚悟が必要だと申し上げたい。
しかし、はるかに頭がおかしい奴がいるのはやはり中国人。便所に行くのが面倒だからと部屋のペットボトルに尿を大量に溜め込んでいたりする。うーん、さすが、四千年の歴史。変態度が違う。
実はこの2カ国にくらべると、フィリピン人はワリとまともである。独特の油の匂いはするが、スパイスや調味料を他国に比べてあまり使わないからだ。
また、ラテンな彼らの生きる目的はオンナ 。「臭い」「不潔」と言われてはモテないので、アイロンと香水は大好き。文化的に清潔にする素地があるから日本の女の子の部屋並みに綺麗な部屋もある。
また、 ベトナム人で問題なのはその「線を引く文化」だ、自分の担当とそうでないものにきっちりと線を引く。つまり自室は綺麗にしても共用部分は自分にメリットにならないので掃除しない。例えば台所などその最たるもの。何度言っても「私の責任ではない」と逃げる。フィリピン人はちゃんと話すと以外に理解してくれるのが本当に助かる。
ちなみに先日、天津生まれの中国人通訳から聞いたのだが、中国人やベトナム人も寮を綺麗にする方法は彼ら同胞にとっては簡単らしい。「何かトラブルを起こした場合は罰金を取ればいい」と涼しい顔で話す。
ただ、日本でこれは違法だ(笑)。だから、罰金でしか動かない中国人やベトナムは管理しにくいのだ。
この点フィリピン人は、リーダーを決めてしっかりと言ってきかせればきっちりと掃除してくれる。寮の管理はフィリピン人が一番楽というのが私の持論である。