フィリピン実習生とアレコレ

フィリピン技能実習生にまつわる雑感です。現場から見た外国人労働者との関わり、特定技能ビザの問題についても記します。

財布を持ったことのない人たち

中間層未満のフィリピン人は財布を持ったことがないという話を以前書いた。おそらく日本に来る実習生の中で、母国でまともに財布を持ち歩いていたものは半分に満たないと思う。

 

母国送金時に申込書の記入手伝いをしていると「僕の父は銀行口座を持っていません」と言われることもままある。

 

銀行口座や財布がない理由はフィリピン人に月給取りが少ないからだ。安定収入がないため、決まった予算内で生活する感覚がわからない。

 

好景気とはいえ、実はフィリピン国内の就労者の大多数は日雇いなどの非正規労働者なのだ。サービス業や製造業も例外ではない。

 

だがこれは彼らが悪いのではない。理由としてこの国の法律上、一年以上同一人物を雇う場合は正社員登用が義務になるからだ。

だが、労働力は余りまくっている。

したがって、経営者(華僑や外国人が多い)は最長1年間の有期雇用契約社員を入れ替えることで会社を回す仕組みを考えるのだ。

 

変なところに厳しいこの国の法律では、正社員をクビにするのは日本と比較にならないくらい難しい。ぶっちゃけ、無断欠勤しようが遅刻しようが正社員は事実上クビにできないのだ。

もちろん法律上は適切な手続きを踏めば解雇できるようなっているのだが、裁判所も弁護士も腐っているで、結局巨額の賄賂を払わないと勝てないのは常識だ。日本人経営の会社の場合は、まともに裁判すれば勝てないようになっている。

 

だから、ほとんどのフィリピン人に給料を聞くと月給ではなく日給で答える。大多数が西成のドヤで働いているようなイメージなのだ。

ベトナムなどからフィリピンに来た日本人は、販売員の商品知識とやる気のなさに驚くハメになる。それはそうだろう、一年後は契約満了でそこにいないのだから覚える必要はないし、ラクして給料をもらうことしか考えてない。(続く)