夢と仕事
先日マニラで大活躍する起業家の方(A社長)と当社の大阪のお客様(B社長)とのマッチングを試みた。結果、商談はうまくいき、B社の店舗がマニラでできる時代も近いかもしれない。嬉しいことである。
当社の強みは人材派遣だけでなく、在住4年にわたる人脈を生かした進出サポートもできることだ。これからもどしどしフィリピンとの縁を作り上げていきたい。
しかし、マニラには在住者の中では「日本人は信用するな」というのが合言葉になるくらい詐欺師が多い。なにせ、ほんの10年前はフィリピンパブのオネーチャン派遣しか両国の交流はないと言って良いぐらい歪んだ関係だった。
おかげでマニラの日本人社会はヤクザ崩れの変なおっさんが闊歩する異常なコミュニティと化していたのだ。
と、いうわけで変なつてに当たると身ぐるみ剥がされてしまうだけでなく、下手すれば命が危ない。こちらも厳選した人物しか紹介しないようにしている。
さて、この信頼できるA社長と話をして驚いたのだが、高度経済成長時代に大手日系製造業で技術者として働き、開発した特許を勤め先に売却して3億円の報酬を得たことがあるという。
さんおくえん、である!!
知人の税理士によると、一部上場企業でも今のサラリーマンで年収1千万円の大台に行くのは部長クラスでないと厳しいらしい(もちろん、業種にもよるが)。
バブル時代の話と比べたら隔世の感がある。
私が現在実習生の紹介をしていて痛感するのは日本の製造業&建築業の給料の安さである。試しにハローワークに行かれると良い、関西なら正社員で月給15万円前後の求人が溢れている。ボーナスがないところも珍しくない。これでは年収200万円未満だ。
手取りで13万円くらいだと、都市部の外国人実習生の方が良い給料をもらっている!
今、日本の会社で人材が定着しないと悩むところは多いが、私は一言で言えば「夢」が職場にないからだと思う。
例えば、同僚が3億円もらうのはものすごい夢である。前述のAさんの周りには残業代込みで年収1600万円の人もいたという。残業200時間という超ブラック状態の職場だったらしいが(笑)。
だが、製造業でも建設業でも「今は待遇が悪くとも、いつかは上司のようになれる。これくらいもらえるようになってやる」という夢は必須だと思う。最初から高い給料を提示しない傾向の強い日系企業ではなおさらである。
うちの近所のダイコクドラッグ(ディスカウント兼ドラッグストア)は時給が最低でも1500円らしい。さらに昇給もある。だからだろうか、店員は異常なくらいのハイテンションだ。
夢はお金だけではないのは間違いない。だが、実習生はほぼみな母国の数倍もの給与があるからこそ日本に来ているのもまた現実だ。
日本人も同じで皆が皆右肩上がりに給料が増えない今こそ、高度経済成長が終わった今こそ、従業員にお金を伴った夢を語ることが大切ではないだろうか。