フィリピンウーバー体験記(その2)
フランスではウーバーにより、収入を得ることができる若者が現れているという。
ウーバーのドライバーの大まかなカテゴリーは以下の3つに分けられる。
①海外で出稼ぎをして得たお金で車を購入。自営業タイプ
②親族が海外から送金したお金で車を購入。家業タイプ
③小金持ちのオーナーから車を借りてウーバードライバーをやっている。雇われ人タイプ。
①は一番成功例が多いだろう。海外航路の船員(フィリピン人男性憧れの職業)をしていたが、契約が切れ、次の乗船まで間があるのでやっている人。中東など海外で10年以上働き、年齢的に出稼ぎがしんどいし貯金もあるので小遣い稼ぎにやっている人もいた。日本で働いていた人も多いので片言の日本語を話す運転手も多い。
②はいかにもフィリピンだが、海外に出稼ぎしている兄弟などが無職の親族に「ウーバーで運転手でもやれ」と車を与えているタイプ。
③は既存のタクシーとさほど変わらない、お金持ちに雇われている運転手だ。
この中では①の自営業と②の家業が一番多いように感じる。特筆すべきはビジネス街マカティ市の建築会社の社員。彼は通勤用に車を買い、仕事後の副業にウーバー運転手をしていた。
元電力会社の技術者だった男もいた。彼は不法占拠住宅へ盗電された電線の切断に出向いた際、住民に銃撃されて同僚を殺されたという。事件後、身を案じた子供たちは退職させてウーバードライバーになるため車を買ってくれたらしい。
怠け者ばかりのフィリピン人だが、ウーバーのおかげで、意欲の高い若者に就労場所を与える効果が表れている。なにせ車のローンさえなければ手元に7万円前後は残るのだから美味しい仕事である。
テクノロジーのチカラなどで、異なる競合が市場に参入し、既存の企業を破壊してしまう現象」を「ウーバーシンドローム」というらしい。
何もかもが未完成な発展途上国ほど、この手の新技術導入への敷居が低い。既存のタクシーやレンタカー会社にとっては驚異だろう。
だが、こういう社会を活性化する効果もウーバーシンドロームの一部と言えるのではないだろうか。
翻って、日本では規制が厳しく、ウーバーは導入されてない。国内にいてはウーバーの良い面も悪い面も実感が伴わない。知らぬ間にガラパゴス化が進んでいるように思うのだが・・。