読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

フィリピン実習生派遣とアレコレ

フィリピン技能実習生派遣にまつわる雑感です。外国人労働者との関わり、アジアビジネスについても記します。

財閥への宣戦布告!

驚いた。フィリピンの大統領がこうした発言をするのは史上初ではないか。

 

このほど、ドゥテルテ大統領は「この国を救う唯一の方法は、権力と富を持つ一握りの人たちの支配から解放することだ」と発言。

 

財閥が牛耳る、エネルギーや電力、通信といった分野で規制改革を行い、外資を含め新興企業の参入を促進する考えを表明したのだ。

f:id:pinoyintern:20161129142915j:plain

 

このニュースは日本では大きく取り上げられていないが、これは歴史的な発言だと私は考えている。もし本当にこれが実行されれば、ほとんど革命的な意味を持つ。

 

フィリピンはわずか数十家族が国土の半分以上の土地を持ち、10%の富裕層が国の富の76%を保有している国である。その反面、農村部を中心に1日1ドル以下の生活費の貧困層は30%とも言われている。

 

f:id:pinoyintern:20161129143456j:plain

(上)金持ちの趣味はポロ(マニラ・ポロクラブ)

f:id:pinoyintern:20161129143349j:plain

(上)ゴミ拾いをして暮らす貧困層マニラ首都圏パヤタス)

 

東南アジアは日本や北欧に比べ、格差が酷いことで知られているが、他国に比べてフィリピンのそれは筋金入りだ。何せ革命や独立戦争に負け続けたこの国では、400年前のスペイン植民地時代から続く大地主や財閥が幅を利かせている。

 

最近はその既得権益を新興の中華系財閥に脅かされているが、依然、富裕層はスペイン系、中華系が中心で生粋のフィリピン人は少数である。

 

具体的に言うと

・電力=メラルコ、ベコ(スペイン財閥)

・水道=マイ二ラッド(スペイン財閥)

・通信=グローブ(スペイン財閥)、スマート&PLDT(元スペイン財閥→現在香港系?)

 と、ライフラインはほぼ、スペインや中華系のものなのだ。

 

そして電力や通信の料金は日本並。つまりアジアでもっとも高い。

国民の給与が月2、3万円のフィリピンだが、大多数が使用するプリペイド式携帯電話で通話料金は1分10ペソ(22円くらい)と日本より高い。私が500ペソ(1,200円)のプリペイドを出張で購入しても、ちょっと話していれば1週間もたない。

 

現状に国民も不満は持っているので、欧米系の携帯通信会社が新規に参入する噂は時たま流れる。しかし、政府は財閥べったりゆえ許可は下りない。2社しかないのだから、価格競争なんて不要だ。

 

「バカな貧乏人からはムシれるだけムシり取ればよい」と言う意図が見え見えである。

 

そして通信会社PLDT(日本のNTTにあたる)や電力会社メラルコといった会社のサービスは死ぬほど悪い。

 

PLDTはテレビで格好良いコマーシャルを流すが、インターネットの通信速度はアジア最低レベル。

f:id:pinoyintern:20161129144057j:plain

(上)アフガニスタンレベルのインターネット

 

蜘蛛の糸みたいな回線なのでラインやバイパーといったアプリでフィリピンに電話すると、ブツブツ切れるので腹が立つことこの上ない。ベトナムにいったら安ホテルですらWI-FIでユーチューブが観れるというのに・・。

 

また、不思議なのは雨が降るとさらにネットや電話が落ちやすくなること。どう言う影響があるのか未だに不明である。

 

回線のスピードだけではない。私はメラルコにケタを一個多く間違えて電力料金を請求されたことがある。そのくせ支払いが数日遅れるとすぐに使用をストップする(まあこれはフィリピン人が相手だからわからなくもないが・・)、こういうことだけ早い。ほとんどキチガイレベルの会社となっている。こいつらに比べたら東京電力は聖職者だ。

 

しかし、こういったライフラインを異民族の財閥系大企業が寡占状態で抑えてしまうというのはある意味植民地支配と変わらない。

 

スペイン植民地時代から続く、スペイン系財閥であるマカティのアヤラ家、セブのアボイティス家はつい最近まで歴史的にフィリピン人とは結婚しないことで有名だった。だから顔は白人そのものである。

 

一般的に華僑は中華系学校に通い、スペイン系はインターナショナルスクールや海外の学校に通う。教育も婚姻も同族間であることも珍しくない。つまり街で転がっているフィリピン人なんて非植民者の奴隷のまま。華僑やスペインといった「外国人」による経済的な植民地、それがフィリピンなのだ。

f:id:pinoyintern:20161129142955j:plain

f:id:pinoyintern:20161129143011j:plain

アヤラ家の当主(上)とアボイティス家の当主(下)。いずれも顔は白人のそれ。

 

もともと社会主義思想にかぶれたドゥテルテ大統領はこの植民地状態にメスを入れようとしているのだ。

 

彼はライフラインを握る財閥や大企業に対し、「何の借りもない。それ故、大統領選では避けていた。あなたたちを破滅に陥れたいわけではないが、すでに優位な立場にあるのだから、現状で満足してほしい。すべてを開放する」と発言した背景にこう言う現状がある。

 

しかしそこはトランプのような政治の素人とは違う。アヤラ(グローブ社)とパンギリナン(スマート社)という通信会社の巨頭経営者を名指しして、「値段を下げてくれるなら。私の発言を忘れよう」と落とし所を見せている。

 

しかしこういった分野の既得権益は巨大だ。本気で戦えば大統領の首を飛ばすことぐらいわけがない。果たして骨抜きにされて終わるのか、治安維持活動で見せた豪腕をこの分野でも発揮するのか。

個人的には非常に注目している。