フィリピン実習生とアレコレ

フィリピン技能実習生にまつわる雑感です。現場から見た外国人労働者との関わり、特定技能ビザの問題についても記します。

フィリピン人への指導方法(その3)

 

さて、この大前提に立って工場はどう運営したら良いのだろうか。年々品質の上がる中国製造業は、この厄介な連中をどうやって管理しているのか?

 

知り合いの中国人に聞くと、「簡単ですヨ。中国では罰金とるカラ」だそうだ。

 

不良を出したら罰金という仕組みでやるのが中国人にぴったりらしいのだ。

 

だが、敵(=労働者)もさるもの、そうすると不良をあちこちに隠し始める。

 

だから監視カメラを徹底的に入れて、さらに監視役の中国人を雇う、そして不正を発見した監視役には報奨金を弾むのだという。まさに強制収容所ジョージ・オーウェルの世界だ。

 

だが前述のように中国人は利で動く。

 

監視カメラ+罰で「これをしたら損になる」を逆手に取るのだ。これをやるから中国は世界の工場となりえたのである。

 

製造業だけではない、現在の中国では共産党の管理下にある監視カメラ+電子マネーでありとあらゆる個人情報が筒抜けらしい。反政府運動だけでなく、借金踏み倒しなどをすれば即評価が下がり、ビジネスから旅行までありとあらゆる不利益を被る。

wired.jp

 

だが、その反面、おかげでタクシーなどサービス業のクオリティが著しくあがっていると聞く。

 

これぞまさに義と利の違い。

 

個人情報が悪用されることが許しがたい=スジに基づく日本と、個人情報がどうなろうが習近平が皇帝になろうが、前より便利に、快適になればいいという実利しか見ない中国人の差なのだ。

 

だが、中国ほど極端ではないが、フィリピンも似たようなもの。

 

フィリピンではグラブタクシー(と旧ウーバー)という白タクが市民の足と言われるほど普及しているが、これが普及した背景には、ヤクザな旧来のタクシーよりもドライバーを客がアプリ上で評価できることも大きい。マニラで実際にタクシーとグラブの運ちゃんを比べたら一目瞭然。総じてまともなのはグラブだ。

フィリピンウーバー体験記(その1) - フィリピン実習生派遣とアレコレ

 

私はフィリピンで家具工場のマネージャーをしていたことがあるのだが、その時もマネージャー職にはDA(なんの略だったか忘れた・・)というイエローカードみたいなものを切る権利を与えられていた。確か昇級の停止だかなんだかの権利だと記憶している。

 

要はムチを与えられていたのだ。

 

中国もフィリピンも、ムチなくして貧しく、民度の低い発展途上国の労働者を管理することはできない。話し合えばわかるような甘い連中ではいのだ。

 

だが、これは差別でもなんでもない。日本もかつては似たようなもの。

 

先日71歳の姫路市の経営者の方に話を聞いたが、戦後の混乱期は泥棒だらけと言っていた。私の祖父は南方から帰国した後、関西の田舎で採れたスイカをトラックに満載し、のこのこ東京に売りに行ったところ、都民に襲われて荷台のスイカを全て強奪されたらしい。今の中国と変わらない(笑)。

 

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↑横転したトラックからキャベツを強奪する現代の中国人

 

 

「貧すれば鈍す」という言葉は私のマニラでの生活時に何度も頭をよぎったが、食べるのに必死な食い詰め者はなんでもやるのだ。

 

ただでさえ過酷な歴史をくぐり抜けた食い詰め者を相手に秩序を維持するには、人権など無視した強烈な罰を用意するほかない。日本のアホが集まる底辺高校体罰で管理しないと無秩序になるのと同じである。(つづく)