フィリピン実習生とアレコレ

フィリピン技能実習生にまつわる雑感です。現場から見た外国人労働者との関わり、特定技能ビザの問題についても記します。

フィリピン人実習生が帰国したあとは・・

実習生制度は今やメディアで集中砲火状態だが、綺麗事ばかり並べるおちょぼ口のメディアの視点ではなく「中の人」から見た現実を紹介しよう。

 

フィリピンの実習生Wくん(30)。常日頃から口がポケーッっと空いているような典型的なお気楽南国フィリピン男、こう言う奴に限ってやることはヤっているので子供は2人。甲斐性なしに愛想をつかされたのか、嫁が男好きだったのか知らないが、現在嫁とは別居中だ。

 

私の面倒を見ている実習生でも知能が低い部類に入るといっても過言ではないのだが、幸いなことに実習先は単純労働だったので彼には向いていた。黙々と不平不満を言わず笑顔で働き、現場の日本人にも好かれて、無事に先日3年を満了した。

 

Wくんは高卒の中年(平均年齢23歳のフィリピンでは中年)なので国に帰っても月給2万円そこそこの現場作業につければ良い方だろう。帰国後は一気に悲惨なド貧困層に一直線である。

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彼の身を案じ、私と雇い主の企業さんは再三「日本で働いた方がいいよ!」と、2年の実習延長を勧めた。

 

だが、フィリピン人労働者階級は目先のことしか考えることができない。貯金や我慢は大嫌いでその日の快楽を追求することが大好き。

 

来日前の面接では「なんでもします。僕は貧乏なんです!助けてください」と泣き落としで言う奴に限って、一年も経てば「仕事がキツイ。日本人上司が厳しい。給料が割に合わない」と文句を垂れるのが典型パターン。

 

 

ちなみに実習生は日本人と同じ仕事を肩を並べてやっている。よくメディアで見かける「ワタシたちはニホン人より大変な仕事をしている」なんて言葉を鵜呑みにしてはいけない。同僚の日本人から「あいつら言葉がわからないから、色々ケツを拭いているのを知らないのか!?」という言葉が出るのがオチだ。

 

日本人でも同じだろう。入社1、2年で「俺は先輩より大変な仕事をしている」なんて言うのはだいたいダメな奴だ。外国人も日本語を勉強しない奴に限って自らの思い込みでこう考える。実習生報道で取り上げられるコメントは大概このパターンだ。

 

Wくんは性格がよいので上記のように仕事で文句を言うタイプではなかったが、如何せん頭が悪すぎた。算数ができないので、自らが生まれて初めて手にしたような大金に目がくらみ、国に残した子供とゆっくり遊んで暮らせるとでも考えたのだろう・・。

 

我々の説得を断り、「僕はフィリピンでビジネスをするのラ」とアホヅラで語りながら帰っていった。ちなみにフィリピンの労働者階級は引き算と割り算ができないので、起業なんてできるわけがない。これはアメリカ植民地時代から続く愚民政策が残っているからだ。

 

そしてWくんが帰ってわずか2ヶ月後、早速メッセージが私に入った。

 

「日本に帰れますか?」

「自分の間違いに気がつきました」

「もう一度チャンスをください」

 

といつもの泣き落としである。

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言わんこっちゃない。ちなみにこれはよくある話だ。

 

発展途上国は日本から見て異常なまでの格差社会貧困層に生まれたらその時点で人生はほぼ終わりである。労働法をしっかり守り、保険や最低賃金以上をきちんと払う日本の実習生制度は彼らにとって決して悪い待遇ではない。

 

もちろん酷い一部の会社は稀に(ごく稀である!)あるが、そう言う会社は○き家みたいに日本人社員相手にもブラック企業である。別に外国人に対してだけ差別して酷い扱いをしているわけではない。

 

報道で騒がれる事故だってそう。この仕事をして驚いたのだが、プレス屋さんなんて社長の指が欠けているのが当たり前だ。酷いところになると経営者の親子揃って指が欠けている。

 

また、鳶職が体に入れ墨を入れるのは転落死した場合に遺体を判別するためでもあるらしい。

 

危険な仕事は外人だけでなく日本人にとっても危険なのだ。

www.asahi.com

朝日新聞のこの記事は同業種に従事する日本人の労災件数と比較していない。そらデスクワークの日本人より現場作業の方が労災は多いに決まっている。意図的な印象操作は慰安婦問題とおなじ。

 

つまり、平等に日本人と同じ仕事をすれば、事故で怪我する外国人は必ず出る。もちろん安全に向けた努力はどの業界も必死でしているが、完全にゼロにはなることは未来永劫ないだろう。それが製造業や建設業の現実なのだ。

 

だが世界中どこでも誰かがそれをやらねばならないのが現実。パソコンの前で記事を書く連中には見えない世界である。

 

繰り返すが、法令違反をするような会社は厳しく罰するべきだろう。だが、どんな問題も双方の意見を聞き、現場をしっかりと見てバランスよく判断しないと本質を見誤る。

 

「実習生として日本に帰りたい人がたくさんいる」という現実を報道するメディアがないのは不自然である。