フィリピン実習生とアレコレ

フィリピン技能実習生にまつわる雑感です。現場から見た外国人労働者との関わり、特定技能ビザの問題についても記します。

特定技能ビザで起きる危機(その1)

今年、日本国は外国人受け入れについて鎖国を解こうとしている。

ベルリンの壁崩壊クラスの大きな変化を控えているといっても過言ではない。

 

これまで頑ななに外国人労働者受け入れを拒んできた日本政府が、今年4月に特定技能ビザという名の「単純労働者ビザ」を創設しようとしているからだ。

 

日本が海外の単純労働者受け入れに舵を切るのは歴史上初のことで、当社のようなフィリピン人労働者を日本に紹介している者からすれば大きなメリットである。

 

だが、この特定技能ビザの創設に関しては非常に危険なことをしていると言わざるを得ない。日本人として、また、フィリピンで生活したことがあり、ベトナムや中国の実習生派遣の現場で血みどろになった経験があるものとして、政府は危機的なことをしているという懸念が拭えない。

 

具体的に言うと、特定技能ビザは日本を破壊しかねない危険な要素を含んでいるのだ。

 

外国人労働者派遣には一家言ある立場として新ビザ創設後に想定されるトラブルをここに上げていきたい。志ある政府関係者や政治家がこの想定に対する対処をしていただくことを望むばかりである。

 

まずは、このブログでもなんども書いているが、大前提として、洋の東西、国籍を問わず単純労働者という人々は基本教養やモラルとは無縁の生き物である。現在日本にいる外国人が比較的トラブルを起こさないのは、大部分が知的階級に属することが大きい。

 

だが、これから海外からくる単純労働者は、それこそ動物とそう変わらないレベルの生き物と考えるべきなのである。「貧すれば鈍す」「衣食足りて礼節を知る」とはよくいったもので、「鈍で礼節のない」連中が大挙して押し寄せると覚悟すべきなのだ。

 

そういう連中を受け入れる時に大切なのはまずはシンガポールのように人権を制限することである。シンガポール建国の英雄、故リー・クアンユー氏は英ケンブリッジ大出のインテリだが、同国の大多数を占める華僑の出である。

 

シンガポールは影で「明るい北朝鮮」と呼ばれるほど人権を無視する強権国家。過去、度重なる人権侵害を欧米諸国に指摘されたリー氏は「西欧流の民主主義や人権思想を東アジアに適用するのは不可能」と言い切って、欧米とは違うた国家運営に成功、同国を先進国に発展させた。今やシンガポールは日本を追い抜き、6人に1人が一億円の資産を有するとまで言われている。

www.foreignaffairsj.co.jp

 

 

だが、その結果、外国人労働者受け入れに大成功し、国民の4割を移民が占め、さらには外国人労働者から最も評価の高い国になっている。人権を制限されつつ働いている労働者が大喜びしているのである。

jp.sputniknews.com

 

 

同国がどれだけ人権を制限しているかの例を挙げよう。

 

シンガポールは女性の社会進出が盛んな国家だが、それを支えているのはフィリピンをはじめとする海外から安価な報酬で働く住み込みの家政婦である。国民の100人中4人が外国人メイドで23万人が働いていると言われている。

 

この家政婦、妊娠した場合はビザが失効し、即帰国なのだ。アーもスーもない。即帰国。年間100人程が妊娠で追い出されているという。

uniunichan.hatenablog.com

 

 

出産費用にシンガポールの税金を使うなんてとんでもない、「シンガポール人の役にたつから来てよいのだ。妊娠したら働けないのだから出て行け」というわけだ。非常に明快である。

 

もちろん、フィリピン人をはじめとする家政婦はこのルールを把握した上で出稼ぎに来ている。だが、教育を受けていない貧しい階級はどの国も貧乏子沢山(日本もそうなりつつある)。母国でもサル並みに感情の赴くままに生きてきた連中だから、イケメンの同胞に言い寄られたら快楽をコントロールできないのは必然なのだ。

 

ところが今の日本で何が起きているかを一例を挙げよう。

 

妊娠した中国人実習生が帰国されたケースが2011年に起きた。帰国させられた中国人はその後、流産したことを理由に、日本にいる「人権派」の弁護士を使って雇い主と受け入れ団体を不当解雇で地裁に訴え、 363万円の損害賠償と未払い賃金をせしめる事案が起きているのだ。

www.recordchina.co.jp

 

妊娠を巡るトラブルは続く。昨年末には妊娠、密かに出産した中国人実習生が赤ん坊を出産して逃げる事件が起きている。

www.sankei.com

 

これをみて「かわいそう」「実習制度は人権違反だ」とネット上はかしましい。

 

しかし、中国人気質を知っている者からしてみたら同情するのは非常に危険、というか相手の思うツボである。地獄への道は善意で埋められているのだ。

 

こういった事案に同情し、「外国人労働者が妊娠した場合は帰国させてはだめだ。出産も産後の面倒も日本の税金で見てあげよう」なんて言い出したらどうなるかを考えてみよう。

 

日本に働きにくるのは食うや食わずやの外国人。母国で出産してもカネない連中だ。彼らの思考パターンを読めば、間違いなくこう考える。「日本なら税金で出産一時金がもらえるし、産後は寝ていても育児手当で母国の数倍のカネがもらえる!」

 

だから妊娠を隠して来日したり(母国の健康診断なぞ賄賂でなんぼでもごまかせる)、入国直後に必死で子作りに励み、出産経費や育児手当を日本の国庫からムシれる限りむしり取るだろう。

 

無理に帰国させようものならこいつらの思う壺。訴えれば勝てるのだから、「人権派」弁護士と組んで会社を訴え、さらにカネを毟りとるに違いない。

ameblo.jp

「そんなことをするわけがない!」と考える人は甘い。というか外人をよく知らない人だ。中国人やベトナム人実習生を雇ったことのある会社の人に聞いてみるがよい。彼らは一旦揉めれば徹底的に戦うし、訴訟も大好きなのだ。「今まで世話になった?」そんな仁義もへったくれもない。カネが全て。第一、共産主義の彼らは会社から金を引っ張るのは使命と感じているのだ。

 

フィリピン人はそれよりは柔らかいが、基本は同じ。

 

現地で会社を経営している日本人が労使問題で脅されたり、訴えられたりは日常茶飯事。昨日まで従順だったフィリピン人に隙をみせたため、逆手に取られるケースは後をたたない。「テイク・アドバンテージに気をつけろ」というのは合言葉なのだ。

 

妊娠流産を口実にわがままいい放題になるフィリピンメイド

【メイド問題】遂にティムが切れて怒りのチェンジ グォラララ!! - モトボサツ勝手にブログセブ島編vol2

 

そもそも貧しい外国人労働者は失うものはない。ゴネたら金をもらえると悟られた瞬間、徹底的に絡んでくる。恥も外聞もない。日本人からみたらわずかなカネでも、暇を持て余しているからダメもとで訴えてくる。

 

もともと中華系のリー氏は、こういった煮ても焼いても食えないアジアの底辺労働者の気質を知り抜いていたのだろう。「アジアにはアジアの価値観があり、欧米流の人権や民主主義は馴染まない」というリー氏の言葉を今こそ噛みしめる時なのだ。(続く)