フィリピン実習生とアレコレ

フィリピン技能実習生にまつわる雑感です。現場から見た外国人労働者との関わり、特定技能ビザの問題についても記します。

特定技能ビザで起きる危機(その5)

「貧すれば鈍す」という言葉は4年間のフィリピン生活中に何度もよぎった言葉である。

フィリピンでもベトナムでもまともな人は富裕層に多いので、「金持ちの教養ある人と話すとストレスがない」と語る現地在住の日本人もいる。

 

貧困層のフィリピン人とは旅行などでさらっと付き合う分には楽しい。しかし、一緒に仕事したり、同居するなど深く付き合えば必ず「嘘をつかれる」「騙される」「金や物を盗まれる」「当然のようにたかられる」といった嫌な思いをするのが当たり前だ。

 

そらそうである。国籍、人種を問わず明日の食い物に困る人はなんでもやるのだ。

 

他のアジア諸国同様バブル経済に沸いているとはいえ、フィリピンでは統計上「飢えたことがある」と答える世帯が10.8%と出ている。ここ数年で劇的に改善傾向とはいえ、国民の10分の1がひもじい思いをしているというのは、恵方巻きを大量に廃棄する日本人には実感がわきにくい。

 https://www.nna.jp/news/show/1859385 

 

以前実習生から「僕が子供の時、おかずを買うお金が家になくて醤油や塩でご飯を食べてました。あれは辛いですよ・・」としみじみ言うのを聞いたことがある。そういえば私のフィリピン人前妻も同じ話をしていた。

 

大阪では「金がないのは首がないのと一緒や」というらしいが、フィリピンでは金がないと命すらゴミ扱いである。

 

例えば、救急車。昔、日本人の浮浪者がマニラで事故に遭い、現場に駆けつけた私が救急車を呼んであげたことがある。ところが、金がないと聞くと、到着した救急車はそのまま半死半生のけが人を放置してUターンしたのだ!目の前でそれを見た私は驚愕したものだ。

 

つい先日はこんなことが起きた。実習生の妹がフィリピンで帝王切開に失敗し、死亡した。問題はこの後だ。家族が10万円以上する手術費用を払えなかったため、手術した病院は遺体を返してくれないのだという。「葬式をあげたければ金を払え」というわけだ。死体が人質なんて日本から見たらブラックジョークであるが、金を用意しないと治療しないなんてのはフィリピンの病院ではあたり前である。

 

号泣する実習生を不憫に思い、受け入れている会社の社長は30万円の現金を貸して一時帰国の休暇を与えてあげた。だが、現在の制度では、もしこのまま実習生が逃げれば、金を取り戻すことは不可能だ。海外なので処罰する方法もない。社長からしたらリスクしかない。

 

だが、勤勉な人柄を信用したこの社長は、すべてを理解した上で快く貸したのだった。感動した私は「お前、人生でこんな親切な上司に出会ったことあるか?日本人だけだぞ!」と実習生に言ったものだ。前述のようにフィリピン人は誰一人、彼を助けなかったのだから・・。

 

だが、実習生制度の批判しかしないメディアはこういうケースを報じない。世の中が批判一辺倒の流れの中、こんな美談を報道をしても上司は取り上げてくれないし、誰かを批判したい読者の快感を呼ばないからだ。ちなみにこの実習生は無事、妹の遺体を取り戻して立派な葬式をあげ、現在も日本で働いている。

 

これが海外の現実である。

 

私自身、自分がもしも一般的=貧困フィリピン人として生まれたならどんな人生を歩んだかを何度も想像した。根性があれば共産ゲリラで革命を狙っただろうし、根性がなければ(そしてほぼこちらだ)犯罪者になるしかないと考えたものだ。

 

アジアの発展途上国では義理人情や約束、恩義といった日本人が有する道徳なんてちり紙ほどの価値しかない。金さえあれば法律すら賄賂やコネで捻じ曲げられ、フィリピンなら人を殺してもうやむやにできる。逆に貧困層なら殺され損で、正義の裁きなんかない。

 

マニラでは財布を拾って警察に届ける正直者はいないと言ってよい。財布にカネが入ってたら、悪徳警官の飲み代に消えるのがオチだからだ。また、カフェでテーブルの上にスマホを置きっ放しにしたらすぐに消える。「マニラでは人を見たら泥棒と思え」「盗難アジア」と呼ばれる所以だ。

 

こんな人々が大量に来る中で、日本の秩序を維持するにはどうすればよいか。

 

簡単である。不良外国人に対し日本政府が強烈な罰を与える権利を有するしかない。具体的にいえばビザの取り消しだ。妊娠や不当な要求、起訴されずとも警察のお世話になるような行為をした時点でビザは取り消すべきなのだ。

 

実際にその好例がフィリピンだ。アジア最悪とまで言われた治安をドゥテルテ現大統領は犯罪者を非合法に処刑することで劇的に改善して見せた。国民の支持はいまだに75%と驚異的な人気である。

f:id:pinoyintern:20190213124434j:plain

処刑された死体の上に「私は密売人」と書かれた紙が置かれる。残酷な見せしめが治安改善に効果絶大だ

必殺仕事人ばりに続く処刑で、ビビリが多いフィリピン人は震え上がり、悪さを控えるようになったのだ。ちなみにフィリピンにいる私の義理の弟もシャブ中だったが、近所で麻薬密売人が蜂の巣になるのを目の当たりにしてやめたらしい。効果絶大である(笑)。

 

さすがに処刑しろとまでは言わないが、特定技能ビザを導入するにあたって、日本も見習って国家の判断でビザを取り消し国外追放する権利ぐらいは備えるべきだ。

 

アホが集まる底辺高校体罰なしでは管理できないのと同様、人権なんて存在しない国から来た連中はコントロールするにはこれしかない。

 

ちなみに、あまり知られてないが、フィリピンでは「好ましからざる外国人(undesirable alien)」と呼ばれるビザ取り消し処分がある。公務員など権力者を侮辱した外国人は、国外退去にできるのである。

 

在日フィリピン人が増えるなら、日本も同種の罰則を備えるのは公正で自然なことではないだろうか?