比体罰禁止法に大統領が拒否権発動
ドゥテルテ大統領はこのほど、上院が可決した体罰禁止法への署名に拒否した。
この法案は両親が子供を叩くことだけでなく、公共の場で激しく罵ることも禁ずる徹底したものだった。
ちなみに外国人労働者相手に一番していけないことは体罰である。特に頭をはたくような行為は、たとえ軽くでも侮辱と捕らえられてしまう。
昔、ベトナムの実習生が3年満了して帰るお別れ会の時に、日本人社長に「3年前に仕事で失敗して叩かれた仕返しをしていいですか?」と真顔で発言して問題になったことがあった(笑)。
フィリピン人も体罰には弱く、ヘルメットの上から軽くはたかれただけで、泣きながら「帰りますー」と叫び出すので要注意である。
かようにアジアの会社や学校などにおいて他人による体罰は受け入れられていない。
だが、世界的に見て他人による体罰を教育と捉えるのは、韓国と日本、中華系(中国やシンガポール)ぐらいしかないようである。
アメリカをはじめとする欧米では、民族的にカッとなりやすいのと体格差が激しいので、体罰は殺人沙汰になりかねない。確かにボブサップみたいなのに叩かれたら死んでしまう。よって米軍でも体罰は厳しく禁じられている。
その反面、フィリピンだけでなく、アジアでは両親による体罰は伝統的に存在していた。例えば、私のフィリピン元妻の姉は、子供の時、罰として母親に米袋に入れられて天井に吊るされたらしい(笑)。
ベトナムでも昔は赤蟻をふりかけるなど拷問じみた両親の体罰があったと聞く(さすがに命に関わるので最近は行われない)。
最近ではネット上の「炎上騒ぎ」を恐れ、テレビなどで皆ポリティカリーコレクトな発言しかしないが、私は体罰は時と場合によって必要だと考えている。
そら体罰は基本しないに越したことはない。だが、人間は本来矛盾した生き物なのだから、単純に全面禁止することが良いわけではないだろう。だから、最近は日本でも教師をけしかけて殴らせ、ネット上で拡散させる馬鹿どもが出てきているのだ。
そんな中、このフィリピン大統領は「愛情とともに規律と遵法意識を教えるための体罰は社会にも有益だ」と、自らの信条を拒否の理由にあげた。
また、「体罰を時代遅れのものとする昨今の欧米諸国の傾向を認識している」とした上で、「他国の文化が我が国を必ずしも健全にするものではない。欧米諸国のやり方を無批判に従うことは次の世代に大きな不利益をもたらす」と発言した。
もちろん彼は他人による体罰は賛成していない。両親が行う場合だけだ。とはいえ、痛快!欧米などで高まる人権偏重トレンドにはっきりと反対している。
この人は国の運営が上手いとは思わないが、信念を持った判断は終始一貫しており、分かりやすい。支持率が高いのも納得ができる。
アメリカの植民地そのままだった歴代の指導者とは一線を画す姿。日本も学ばねばならないのではなかろうか?