フィリピン実習生とアレコレ

フィリピン技能実習生にまつわる雑感です。現場から見た外国人労働者との関わり、特定技能ビザの問題についても記します。

算数とフィリピン人

f:id:pinoyintern:20150623132457j:plain

フィリピンの実習生と中国やベトナムの実習生の違いだが、大きなのは算数の欠如だと思う。

 算数は大の苦手で高校入学と同時に数学を捨てたような私だが、フィリピン人の算数能力の低さはレベルが違う。

 三角形の面積などは一部のトップレベルの大学卒でない限りほぼ全滅。日本に来る実習生はほどんどが専門学校や高卒なので2桁、3桁の掛け算&割り算は壊滅的な出来である。日本で言えば小学4、5年生くらいか。掛け算の九九を覚えさせるという教育がまともに存在しないようだ。

 計算だけなら電卓を使えばよいのだが、現実はもっと深刻である。

 実習生でくる人物に「日本で働いた後」の目標を聞くと多くが「スモールビジネスをしたい」という。

 そしてこのスモールビジネス、ほとんど5つの選択肢に限られるのだ。

「サリサリストア(タバコ屋のような雑貨店)」「ネットカフェ(コンピューターショップという)」「溶接工場」「養豚」「野菜の仲買人」だけ。

 日本でも脱サラしてラーメン屋は上手くいかない事業の典型とされるが、上記のアイデアをあげた者は帰国後間違いなくビジネスに失敗し、再度海外出稼ぎ労働者と成っている。

 つい先日も事業に失敗した元実習生が、「もう一度日本に行かせてください」と電話がかかってきていた。

 なぜこんなに失敗ばかりするのか。この原因に算数能力があると私はみている。

 先日セブにあるクラブで隣に座った女の子にいろいろ聞いてみたが、この子は稼いだお金で自宅でサリサリストアをやっていた。無職の兄(フィリピンの男は無職が多い)に店番を任せて、本人は夜の店で働いているそうだ。

 しかし、「では店の売り上げは?」「利益率は?」という質問にまともに答えれないのだ。

 毎日レジに入ってきたお金から適当に生活費と仕入れと、無職の兄への小遣いを抜いているので本人も儲かっているかどうか分からなくなる。事業計画も損益分岐点もあったモノではない。日本人からしてみたら、小学生が会社経営をやっているような感じである。

 フィリピンでビジネスをすると、現地下請けや取引先のレベルの低さに愕然とすることがある。例えばお互い毎月100万円づつ儲かる商売があったとしても、フィリピン側がすぐにこちらの100万円を奪おうとするので続かない。とか。

 こういうよくわからない思考パターンの背景には数学のような論理的思考が完全に抜け落ちていることが大きいような気がするのだ。うちの実習生には、将来ネットを使った起業家講座を行い、基礎的な計算から教えていきたいと妄想している今日この頃である。