ベトナム実習生はどうなのか(その2 万引き)
前回からの続き。
さて、万引きがベトナム実習生受け入れの大きなリスクと前回書いた。
それを解説する前にまずはこのニュースを見てみよう。
日本警察、ベトナム航空CAに逮捕状、盗品密輸に関与の疑い - 社会 - VIETJO 日刊ベトナムニュース
2014年に万引きされた盗品売買にかかわった件で、ベトナム航空の複数のスチュワーデスに逮捕状が出された。2009年には同じく同航空副機長に逮捕状が出されている。
このニュースでは解説不足で、普通の方には何のことか分からないと思う。
そもそもベトナム航空は国を代表する一流企業で日本航空(JAL)みたいなもの。知人にここのスチュワーデスがいるが、某国大使の娘だ。コネ社会のベトナムなので社員は「金持ちや共産党幹部の縁戚や知人」ばかりで構成されている。
では、そんな「エリート集団」がなぜ盗品売買に関わったのか。フィリピン航空も中華航空もこんな馬鹿な犯罪には関わらないというのに。
一番の大きな背景として、在日ベトナム人のコミュニティーの存在がある。1970年代、共産化した母国を逃れ、多くの難民が日本にやってきた。その数は1万人を超えたという。
ビザを得た彼らは貧しい母国から親族を次々と呼び寄せる。2014年時点で、在日ベトナム人は9万人以上に達した。関西では姫路市、神戸市長田区、東大阪八尾市などにコミュニティーがある。
しかし、元々が生きるために必死で逃げてきた人ばかり。優秀な人も多かったのだが、なにぶん言葉ができないので仕事がロクに見つからない。無職外国人の得意技である生活保護を申請しても、人並みな暮らしからは程遠い。
そこで、母国に比べたらザル状態の警備である(そう見える)日本の小売店で万引き→スチュワーデスを使って密輸という事業を開発したのだ。
こうやって書くと、やむにやまれぬ事情のように見えるが、そこは外人、現実はもっとえぐい。
難民が食うのに苦しんだのも今は昔。生活保護はしっかりと受給し、万引きだけでなくマリファナ栽培やベトナム人専用の地下賭博場も手がける。神戸の長田区ではン千万の豪邸を構え、外車を乗り回す者もいると聞いた。
第一、万引きといっても中学生がやるような生易しいものではない。テレビからコメまであらゆるものを盗む組織窃盗団と化している。
化粧品は棚に並んでいる在庫を根こそぎ持って行くし、彼らの飲み会で「俺は●万円のテレビを盗んだぜ!」と盗んだ価値を競い合っているらしい。ホーチミンやハノイには日本からの輸入品を扱う店が軒をなしているが、日本語の値札が付いたまま盗難品が売られている事実は公然の秘密だ。
ちなみに「ユニクロ」「資生堂の化粧品」「家電」、そしてなぜか「エアーサロンパス」は高く売れる商品として人気だ。
盗みがこれだけ大量であれば運ぶ量も多い。スチュワーデスは一回のフライトで、多い時には一人100キロ前後の荷物を運んでいた。運賃はキロあたりで取るので、給料よりもはるかに大きな儲けをたたき出すアルバイトなのだ。
また、この在日ベトナム人犯罪組織にとって実習生は万引きの実行部隊として最適となる。捕まっても捕まらなくてもどうせ3年で帰国するから組織へのつながりがばれにくいし、金のために日本に来ているのだからリクルートも簡単だ。
例えば、東大阪八尾市にあるベトナム食材店では、2階が盗品倉庫になっており、盗まれた各種商品と「買取価格表」が保管されている。実習生が店に入ると、「アルバイトしないか」と店主から勧誘を受け、倉庫に案内されるの仕組みだ。ベトナム人を選んで声をかけるので、日本の警察にはバレない。
実習生は万引きを組合や受け入れ企業から厳しく戒められているが、犯罪組織はプロだ。ためらう者がいたらスーパーに一緒に行き、目の前で万引きして見せたりする。「簡単だろ?」とやってみせるわけだ。
なんか中学のヤンキーみたいである(笑)。
さらにバッグの中にアルミフォイルなどを貼り、店舗入り口の探知機に感知されない工夫などノウハウを仕込む。もちろん、つかまった場合は背後の組織について口を割らないよう、脅しも十分に入れておく。
ちなみにベトナムに限らずアジアの市場で万引きしようものなら、周辺のおっさんから袋叩きに遭うのが常識だ。どさくさに紛れてナイフで刺されても文句は言えない。死ぬ覚悟がいる。
だが、日本では万引きで逮捕されてもほとんどが不起訴処分だ。大阪の下町のスーパーでは毎日3、4件は起きている軽犯罪にすぎない。だから彼らはこう指導する「ここは日本だから大丈夫」と。
こうしてベトナム実習生は「兵隊」として組織に取り込まれていく。実習生の寮に行ってみると大量の商品が押入れに隠されていることもしばしばである。(続く)