フィリピン実習生とアレコレ

フィリピン技能実習生にまつわる雑感です。現場から見た外国人労働者との関わり、特定技能ビザの問題についても記します。

無責任な実習生報道の裏側

昨今の外国人受け入れに関する報道を見ていて非常に心配である。

例えばヤフートップニュースに記載されたこの記事。withnewsとかいうネットメディアみたいだが、あからさまに公平性を欠いている。ほとんど日立にとって悪意すら感じる。

 

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181120-00010000-withnews-int


例えば見出しは「通勤路が違う。まるで二級市民」「月の生活費は一万円」と奴隷のような扱いをほのめかす。

 


だが、長年フィリピン実習生と付き合っているとそれぞれの背景がよくわかる。

 


例えば、大型トラックなどが走る道路をマナーを守らない外国人が自転車で走ると大きな事故に繋がることがある。

道幅いっぱいに広がって携帯電話を使いながら乗るなんて当たり前の連中なのだから。

 


そういえば昔、私が関わっていた組合で、ベトナム人実習生が酒に酔って自転車を三人乗り(!)して電柱に激突。頭がい骨骨折などの重傷を負う事件があった。また、同じくベトナム人実習生が自転車でお婆さんに激突して死なせてしまった事件も知っている。

https://goo.gl/images/TjkoMH


こうなると企業や監理組合は大変だ、ものすごい時間とお金をこいつらの後始末に費やす羽目になるのだから。病院への引率から保険の処理、万が一死なれでもしたら家族の呼び寄せや国際貨物で死体の移送をする羽目になる。

 


保険や法制度に明るくない実習生は付き添わないと何もできないので、幼児と変わらない。会社からしたら途轍もない煩雑な手続きに巻き込まれるのだ。

 

 

 

このため、歩道が広く安全なルートを企業が通勤路として指定するのはよくある話だ。

 


しかし、「なぜこの道路を使っていけないか」を説明したとしても、思い込みの強い(これもあるある)フィリピン人が自分の都合の良い解釈をする。アホなこの記者は言い分をそのまんま書いたのだろう。

だがよく考えて欲しい。そもそも戦前の植民地ならともかく、現代の大企業、日立が理由もなく差別的なルールを作るわけがない。企業側に裏を取らず書いているに違いない。しかもこの記者は名前を明かしていない、卑怯極まりない輩だ!

 


あと、生活費1万円しか残らないとか書いてるが、彼らは家族を養うために毎月7、8万の仕送りをする。無職のプータローが大量にぶら下がっているので、給料を倍に増やしても倍送金するはめになる。母国の怠け者が寄ってたかって費ってしまうのだ。批判されるべきはぶら下がっているフィリピン人である。

 


この背景をきちんとヒアリングして書かないと本質を見誤るのだが、この記者はフィリピンに住んだこともなければ調べたこともないのだ。

 


この日立に入れているフィリピンの送り出し機関は有名で、日本語教育のレベルは高いが、高額の学習費用を取ることで知られている。

 


だが、総じてフィリピンの送り出し機関はベトナムや中国に比べて賄賂を取れないので、日本に来るまでの応募者の初期費用は知れている。10万円から20万円程度が相場だろう(ベトナム70万円から100万円、組合へバックマージンを払うところも多い)。意外にフィリピンは労働者保護に関しては公正で、給料比で言えば決して非人道的な経費ではない。

 


にも関わらず来るまでに40から50万円ぐらい借金してくるものが後を絶たない。理由は簡単だ、面接で採用されるや否や、「日本に行けるぜ!いえーい!」と働きもせず、将来入るカネを見越して大盤振る舞いの生活を始めるからである。来日までの間節約しながら勤勉に働くなんてラテン気質の国には存在しない考え。

 


ベトナムと違い、フィリピン人の借金は自業自得のケースが多いといえる。

 


もう一つ。光熱費の明細云々も、エアコンを夏は16度設定で付けっ放し、冬は33度設定で付けっ放しにするのがフィリピン人のデフォルト。

 


冬場は暖房MAXの室内でTシャツで過ごそうとする。エアコンがついた家で住んだことがないからだ。よって小まめにエアコンを切らせるなど、厳しく管理しないと二人部屋で光熱費が2、3万円かかることも珍しくない。

 


実はフィリピン人はホテルなどに泊まってもこまめにエアコンや電気を切る考えはない。むしろ「タダなんだから切るのは『もったいない』」といって付けっ放しにするのだ。我々と常識が真逆である。

 


水道光熱費全て合わせて1万円とあるが、こんな連中相手に使い放題でこの金額ならむしろ良心的だろう。

 


そもそも支給額が18万円でも納得できないなんてわけがわからない。

 


昔、日本を戦争に追いやったのは朝日新聞を始めとするメディアであることはよく知られている。反米、反中国の記事を書き飛ばして読者の感情に訴え、踊らされた国民の破滅を招いた。

 


私は昨今の実習生の報道にそれを感じる。「実習生も楽しくやってます」は記事にならないのだ。「こんな酷い目にあってます」が編集長に褒められ、読者のクリックを呼ぶからだ。

 


正確さは二の次、ごく一部の極端な例を偏った見方で取り上げて、センセーショナルな記事に仕立て上げる。

 


これに踊らされ、外国人に日本人と全く同じ権利を与えた結果、何が起きるか…ジョブホッピング(失業保険狙いの転職の繰り返し)、犯罪、挙げ句の果てに生活保護に行き着くのだ。一旦それを許せば取り返しがつかないというのに…。

そもそも単純労働者に対しては安易な転職を禁じ、退社と同時に帰国させるのはむしろ世界的には常識なのだ。

 


合理的にはっきりと「外国人労働者は日本のために呼ぶ。日本人と同じ給料や保険は払うが区別もする」というシンガポールのような哲学を公然と語る識者が、今求められている。