フィリピン人のおばちゃんが占領する香港の週末
初めて香港&マカオに1泊2日で行ってみたが、まず驚いたのはフィリピン人の数だった。
銀座や六本木に相当する中心地、中環で街ゆく人の10%以上はフィリピン人のおばちゃんである。昔から日曜日の公園がメイド(家政婦)の溜まり場になると聞いていたが、ここまでとは思わなかった!
場所によってはタガログ語しか聞こえず、マニラと変わらない光景になっている。
統計を見ると香港の人口733万人中18万人がフィリピン人、実に100人に2人がフィリピン人である。(2016年)この数は年々増加傾向にあるようだ。
エルメスやブルガリといった高級店が並ぶ通りは一帯が週末歩行者天国になっていたが、段ボールを敷いたフィリピン人メイドが隅々まで占拠している。音楽をかけて踊ったり、国民食ファーストフード、ジョリビー(でもオーナーは華僑)を嬉しそうに頬張る。
香港人は「週末だけだし、こいつらは別に怖くないからね」と気にしていない様子だが、見渡す限りのおばちゃん軍団は、はっきりいって異様な風景である。ありとあらゆる階段や高架下にいるので、最初は浮浪者か難民かと思った。
だが、彼女らはここでも過酷な扱いをされる底辺労働者。月給は8万円程度だ。
中環エリアは日本よりはるかに物価が高く、レストランはディナーで1人1万円は必要。ホテルはどんなに安くても一泊2万円以上。彼女らが到底賄えるものではない。晴れた日に路上に座るのが、唯一の娯楽なのだ。
現在の香港は100人に1人が資産1億円(!)を持ち、家賃はワンルームでも最低10万円以上はするリッチな都市。日曜の夜に高級レストランいくつかに電話してみたが、ほとんどが予約でいっぱいだった。街ゆく香港人は、高級外車とブランド品で身を固め、日本人よりもはるかに贅沢な暮らしをしている。
安物の服を着て段ボールに寝転ぶフィリピン人との格差はえげつないものがある。
余談だが、メイドの必須条件は雇い主の旦那と寝ないこと(もしくは寝る気を起こさせないこと)。だから、皆ブサイクでカエルみたいな体をしたおばちゃんばかりが選ばれている。同じ女性でも化粧をして颯爽と歩く香港人との格差はよけいに目立つ。
だが、外国人労働者を受け入れるというのはこう言うことだ。
今後、日本が女性の社会進出を実現させるためには、家事や育児をだれかが安価な値段で肩代わりしないと実現しない。綺麗事ではないのだ。つまり、出稼ぎ労働で来る外国人に対しては格差が必ず生じるのが世界の常識なのだ。
単純労働者は香港のように地元民より安いからこそ受け入れられているのが世界の現実だし、この醜い現実が女性の社会進出といった「綺麗」な現実を生んでいるのだ。