フィリピン実習生とアレコレ

フィリピン技能実習生にまつわる雑感です。現場から見た外国人労働者との関わり、特定技能ビザの問題についても記します。

ITスタートアップはセレブの趣味

マカティで行われているスタートアップコンペを見学に行ってみた。

 

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IT関係のスタートアップへの投資を募るため、若者が企画したビジネスプランをプレゼンするイベントである。

 


主催者はマサチューセッツ工科大卒のエリート。知り合いがメンター(指導)役をやっていたので誘われたのだ。

 

 

 

参加者はアテネオ(慶応に当たる)、デラサール(早稲田)、フィリピン大学(東大)といった一流大学の学生が中心で20人ほど。5つのグループが応募してきているらしい。

 


だが、マカティの一等地にあるイベント会場に入って違和感を感じた。

 


参加者のMacBook所持率が異常に高いのだ。見たところ半数はピカピカの高級ノートパソコンを所持している。

 

 

 

だが、最低15万円以上するMacは日本でも学生が気軽に買えるものではない。月給3、4万円、地方では月給2万円以下も珍しくないフィリピンで、学生が颯爽と広げている姿は異様ですらある。

 


つまり彼らは上位数パーセントの富裕層に属する家庭の子なのだ。

 


一生働かなくてよい高等遊民レベルの子達も何人かいるに違いない。

 


毛沢東は「夢があること、若いこと、貧しいこと」を成功の条件としていたが、親から庶民の月給の半年以上するノートパソコンをもらい、毎月5,000円(高い)はするネット環境が自宅にある学生はこの国では完全に勝ち組だ。

 


大学を出れば、親のコネでこれまた庶民からみたら考えられない給料をもらえる仕事にありつけることだろう。

 


それどころか、ファミリーのコネで欧米へあっさりと移民するに違いない。

 


フィリピンのネット速度はカンボジアと同程度なのに、価格は日本と遜色ない。だから、庶民はネットカフェに通うしかない。

 

その反面、高級自家車を何台も持ち、数ヶ月おきに海外旅行を楽しむ輩がいる。

 


この環境では国民の大多数を占める貧しく、なおかつ優秀な人物がどれだけITの起業家として挑戦する機会があると言えるのか?

 


ちなみにこのコンペ。昨年はヴィーガン菜食主義者)向けアプリをつくったグループが優勝したらしい。

 


地方では食べ物がない人々がいるこの国で菜食主義…。

 


なんというか。こういう連中が大したことができるとは思えないのだ。