フィリピン人の頭の中
マカティ市に出張中、携帯の調子が悪くなったのでショッピングモール内の修理屋に持ち込んだ。
ビジネスセンターのど真ん中にある綺麗なモールは1階に高級時計やファッションブランドがひしめくのだが、建物端っこの上層階にいくと、胡散臭い中国製携帯部品を所狭しと並べた修理屋が集まっている。
こちらの顔を見ると元気の良い呼び込みがかかるが、服装といい顔つきといい、スラム街にでもいそうな面構えの連中だ。
だが、この国では修理はこういった連中の得意分野。そもそも綺麗なサービスセンターなぞ存在していないので背に腹は変えられない。
呼び込みに誘われるまま太ったおっさんのいる店で修理を依頼した。
携帯をざっとチェックしたおっさんは「1 時間後に出来上がるよ」とのたまう。こう言う時にあっさりと信じてはいけない。どローカルのフィリピン人は「適当」という言葉と一緒に生まれてきたような連中ばかりなのだ。
たぶん無理だろう。と考えた私はゆっくりと時間をかけてモールで時間を潰して戻ってみた。
そして1時間半後。
店を覗くとおっさんは発泡トレーに入った不味そうなローカル飯(実際にまずい)を頬張りながら「(モグモグ)あと1時間半な」と適当に言う。
おそらく作業を始めてもいない。
ここで怒ってもいけない。ある意味想定内だ。しょうがないのでまた時間を潰す。
さらに2時間後。
私の顔を見るなり、おっさんは「修理が難しいから云々」とお得意の言い訳を始める。もう慣れっこなので適当に聞き流す。
私「それで?いつよ?できるのは」
おっさん「2時間半後」
私「2時間半!?」
ここで日本人の常識から言えば「最初の1時間は何やってん?」と激昂するところだが、この手の連中にキレても得はない。
そもそも自分の発言に責任を持つという概念がないのだ。「自分はやった」という理由づけ(言い訳)が大切でその結果、できなくても「自分は悪くない」と考えるのが彼らのパターンである。
こう言う手合いにはこちらも話半分で付き合うしかない。今日中には出来上がらないと踏んだ私は翌日に再訪することにした。
翌朝11時。
店にはメガネのチビなオナベが一匹たむろしていた。おおかたおっさんの親戚のプータローである。メガネオナベは「おっさんは昼過ぎにくるよ」と言うなり携帯ゲームに集中し始める。
日本でも「ダウンロード無料!」を謳う携帯ゲームの愛好者はパチンコ愛好家とかぶるらしい。要はヒマで頭の悪い連中が没頭するのだ。
国民の大多数がフリーターかニートみたいなこの国では、この手の携帯ゲームの愛好者は腐る程いる。なにせ時間だけは無限に余っているのだ。スラム街に行けば中華製安物スマホで延々と遊ぶ姿を見ることができる。
こんなやつの言うことを信じるほどこちらもおぼこではない。絶対に昼過ぎに来ないとみた。
私「とりあえずおっさんに電話しろや」
メガネオナベ「番号知らん」
私「お前のボスやろ?誰かに聞いてこいや」
めんどくさそうに近所の店に聞きに行ったが、戻ってくるなり、「携帯のロード(プリペイド残高)がにないから電話できない」とゲームを続け始めた。
・自分のいる店のオーナーの連絡先を知らない
・番号を聞いてくるが電話する気がない
こいつは意味不明レベルの完全なアホである。とはいえ、この類は国民の3、4割を占める。
あと、余談だがフィリピンのオナベは女に貢がせて生きているヒモみたいなクズがたくさんいる。こいつもその手合いなのだろう。
私「待て待て、俺の携帯使っていいから。つか、ゲームやめろや」
メガネオナベはようやく私の携帯で電話し始めた。でもスピーカーフォンでしゃべりながらゲームは続けている。こちらの顔は見もしない。
おかげで携帯電話は入手できたのだが、こいつは「おっさんは昨晩あんたを待ってたのよ」とこちらが悪いかのような発言をする。
私が「2回納期を伸ばしたのはおっさんやぞ」と反論すると。黙る。
だが、こう言いいかえしてもこの手合いはなーんも応えていない。つか、何も感じていない。フィリピン人の大多数は反省とか改善は頭にないのだ。
過去ベトナムとフィリピン両国の市場調査に訪れた人は「ベトナムに比べてフィリピンの店員の知識と労働意欲は話にならん」と言っていたが、まさにこれがスタンダード。
それでもこれで好景気なんだから、何かがおかしい。