フィリピン実習生とアレコレ

フィリピン技能実習生にまつわる雑感です。現場から見た外国人労働者との関わり、特定技能ビザの問題についても記します。

発展途上国のミスコン裏話

このほど行われたミスユニバースでフィリピン人のカトリオナ・グレーさん(24)が優勝してフィリピンは大騒ぎになっている。

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スペインやアメリカの植民地であるフィリピンは一般的に美人が多いことで知られているが、マニラの路上にこんな顔とスタイルしている生き物はいない。以前も書いたが、ミスコンは英語力と身長が必要なので、低身長で英語が話せない大多数の貧困層は自動的に排除されてしまうのだ。

 


案の定、グレーさんはオーストラリア人の父親を持ち、生まれも育ちもオーストラリア。大学は米バークリー音楽大学を出ている才女・・と言いたいところだが、ここは4年間で学費が2千万円かかるらしい。日本人でも無理な莫大なカネor図抜けた才能どちらか、もしくは両方が必要な別世界だ。

 


https://www.ryugaku.com/sakaecolumn/ongakuryugaku.html

 


今はモデルの仕事を得たのでフィリピンで生活し、セレブと付き合うような生活を楽しんでいるようだ。美貌と知性を備え、格差社会フィリピンの上位3%に入る富裕層である。

 


フィリピンではミスコンはライブでテレビ中継され、家族全員でワーキャー言いながら見る人気プログラムだ。マニラで住んでいた時はたかが美人コンテストで盛り上がる理由がわからなかったが、よくよく考えてみたら背景がわかる。

 


日本ではノーベル賞やオリンピックなど世界に通用するイベントがたくさんある。だが、突然変異レベルの天才を除き、世界の舞台で評価されるフィリピン人はほとんどといってよいほどない。

 


同国で一番人気のスポーツはバスケットボールだが、どうあがいても中国には勝てないし、アメリカとは雲泥の差である。(ボクシングなど格闘技は時折すばらしい選手がいるが・・)

 


つまり、美人コンテストは世界でフィリピン人が頂点に立ち得る数少ない「お家芸」なのである。…選ばれるのは一般のフィリピン社会とはほとんど縁もゆかりもない富裕層なので、我々日本人からみたら釈然としないのだが。

 

 

 

ちなみに同じ大会で入賞したベトナム代表は先住民族出身(ベトナムで被差別側にあたる)で、大学時代は家政婦としてアルバイトしていた苦学生らしい。しかし、こんなのがメイドで来たらいろんな意味で家族が困るだろうに・・。

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苦労して努力でのし上がるベトナムと、銀の匙をくわえて生まれた勝ち組がさらに評価されるフィリピン・・。国民性が出て面白い。

 


と思ったらベトナム人は違う見方をするようだ。知人曰く、ベトナムのミスコンは代々金持ち&権力者の愛人なのが当たり前らしい。

 


コネが全てのベトナムでは、美人メイドの苦学生が実力だけで評価されるサクセスストーリーは存在しない。第一、メイドの給料で大学を卒業はできないので、「ウラが必ずある。ベトナム人は美談を額面通りに信じていないが、それを分かって評価している」と言い切っていた。

 


2人ともこれほどまでの大舞台で堂々と振る舞うのは心身共に、素晴らしい女性であるのは間違いない。

 


だが、表に出る綺麗なお話で単純に「素晴らしい!」と感心してはいけないのが東南アジアである。