フィリピン実習生とアレコレ

フィリピン技能実習生にまつわる雑感です。現場から見た外国人労働者との関わり、特定技能ビザの問題についても記します。

高齢化と経営について

池袋の痛ましい交通事故を見て、高齢化の能力の劣化について思うところがある。

 

当社が取引をしているAとB、2つの派遣組合の理事長は年齢がそれぞれ81歳と84歳だ。

 

実習生の派遣組合というのは、もともと成り立ちが古いところが多いため、トップが老人というケースは多いのだ。

 

とはいえ、2人とも業界では有名な方で、1人は政府の元高級官僚、もう1人は従業員100人を超え、海外に拠点を構える企業の経営者でもある。

 

どちらもずば抜けて知的な方で、5年前に私が2人にそれぞれお会いした際は会話も面白く、かつ人間的魅力に溢れており、たちまち魅了されてしまったものだ。

 

A組合もB組合も、下で働いてる職員の皆さんが各々の理事長を尊敬しており、「うちの理事長は元気で、とても年齢相応に見えない」と、皆さん口を揃えて賞賛されていたことを思い出す。

 

しかしここ1年ほどでこの2人に対する評価が変わり始めたことに気がついた。

 

あれほど無条件にトップを尊敬していた職員が影で「最近ボケ始めた」と言い始めたのだ。私もこのほど実際しゃべって思ったが、瞬間的にではあるが、会話が意味もなく途中で止まったり(パソコンのフリーズ)したり、内容が飛んでしまう(質疑応答が微妙に噛み合わない)時がある。

 

もちろん、初めて会った人なら気がつかないレベルだが、昔を知っている人なら「アレ?」と感じるはずだ。

 

この経験から池袋の暴走事故を見ると、容疑者の爺さんも元高級官僚だったのだから、優秀な方だったんだと思う。幼少の頃より「神童」と呼ばれるような頭脳を持っていたに違いない。

 

事故を受け、「不安なら免許返納を」と呼びかける人もいるが、論理的に矛盾している。

 

ネット上で出回っているこの統計の通り、老化の恐ろしいところは自分の能力に不安を感じるセンサー自体が衰えることなのだ。

corobuzz.com

 

だから本人は自分は昔のまんまと信じきっているのである。

 

私が住んでいる南大阪の貧困地帯では狭い路地を高齢者が自転車に乗っているのをよく見かけるが、連中は道路の真ん中に自転車を止めておしゃべるするわ、ふらふらと車道を走るわと唯我独尊の暴走族状態。

 

車がすぐ後ろに来てもまったく気がつかない。頭のセンサーが死んでいるのだ。

 

タクシーの運転手(これも高齢者が多いのだが・・)は「この辺りは、アクセルから足を離してブレーキを準備しながら走ります」とぼやく。それぐらいアブない。あちらはいつ死んでもいいかもしれないが、巻き込まれるこちらは災難以外の何物でもない。

 

先あげた高齢理事長も「まだまだ頑張らなあかん」と気勢を上げている反面、部下は「早く引退しろよ・・」とぼやき始めている。

 

だが、自転車に乗るぐらいならともかく、会社経営となるとこれは怖い。

 

会社の経営というのは大型のトラックもしくはレーシングマシンの運転のようなものである。運転を誤れば事故は甚大だ。

 

とはいえ、ボケた人に「ボケてますよ」と言っても逆ギレされるだけなのだからタチが悪い。

 

そして人間の能力は日々階段状に落ちていく。緩やかな曲線は描かない。ちょうどハイハイしていた幼児が、翌日から急に歩き出すのと真逆だ。今日できたことが、明日いきなりできなくなるのが老化である。

 

今後高齢化したトップによる「巻き添え倒産」が増えるのではないかと私は懸念している。

 

なんども書いているが、昨今のアジアが元気がいいのは若者の数が多いことが理由だ。

 

pinoyintern.hatenablog.com

 

「日本が元気がないというのはひとえにリーダーの高齢化が原因。老害は速やかに引退せよ」と提唱するべきなのだ。

 

だが、メディアも上司が高齢化している今、こんなキャンペーンをすれば若手記者は出世できなくなるであろう。

 

かように病理の根っこは深い。