フィリピン実習生とアレコレ

フィリピン技能実習生にまつわる雑感です。現場から見た外国人労働者との関わり、特定技能ビザの問題についても記します。

ドゥテルテ政権のウラ話

先日、親しくしている元フィリピン政府高官と現政権について話をする機会があった。

実は同国のインテリはドゥテルテ政権の反対者が多い。彼もご多分にもれず、極めて批判的である。

 

犯罪容疑者を処刑する超法規的措置をいとわぬドゥテルテ大統領は、アメリカ型教育を受けたエリートとはソリが合わない。

 

反面、これまでアンタッチャブルだったアメリカやカトリック教会をべらんめえ調で罵る姿は、エリート教育から外れた庶民の快哉を呼んでいる。

 

そんな彼のコメントがなかなか面白かったのでここで共有しておきたい。もちろん、裏の取れない噂話レベルだが、こんなインテリが信じているあたり何らかの真実が含まれている可能性もある。

 

フィリピンの報道に関しては、実は報道されない裏話の方が面白かったりするのだから・・。

 

まず、私個人の評価としてはドゥテルテ氏は割に清廉潔白な人物だと感じていた。これは彼が30年間市長を務めたダバオ市を私自身が訪問し、その清潔さや治安の良さに驚いたことも大いに影響している。口先だけでなくきちんと結果を残すフィリピン人というのは極めて少ないからだ。

 

だが、ビジネスをしているフィリピン人で政府が前よりクリーンになったという人物に会ったことはないのも事実だ。みな口を揃えて「前より腐敗はひどい」と憤る。

 

元高官にこの点について聞くと「清廉潔白なリーダーが、汚い政府を作るわけがない。ドゥテルテは汚れている」と冷静だ。「庶民の味方を演じているだけだ」とも。

 

この方の現政権に対する批判を聞いてみよう。

 

 

元高官による現政権の批判説その1

「ドゥテルテは麻薬撲滅を公言しているが、中国から飛行機で覚せい剤を地元ダバオに密輸している」

 

全国で行われた麻薬密売人の処刑は、フィリピン中の覚せい剤ネットワークを自分の傘下におさめるのが目的。要は戦後、日本の山口組が日本全国の中小ヤクザを潰していったのと同じ動きだというのだ。

 

全土の覚せい剤を地元のシンジケートに独占させることで、莫大な収益を自らのものとしたという。

 

独裁者マルコス元大統領は戒厳令を利用した各種産業の国営化により、権力を我が物としたが、ドゥテルテはマルコス信奉者なので、同じ手法を踏襲している。

 

ただし、マルコスは戒厳令下でも覚せい剤は禁止していたので、「それ以上にたちが悪い」らしい。

 

現政権の批判その2

「日本や韓国の低金利な援助ではなく、中国の高金利な融資による開発援助を増やす理由はピンハネが目的だ」

 

現政権下で急増する中国の開発援助への懸念は、SNSやメディアでも溢れている。実際にアフリカなどで援助の名の下に権力者に賄賂をつかませて、政府に高金利で融資を行い、返済できなくなったところで地下資源やインフラを奪う手法は中国の常套手段なのだ。

 

現代の中国植民地は軍隊ではなく、バカな発展途上国の指導者にばらまくカネによって作られているといってもよい。

 

なにせ中国人には4000年前から賄賂で権力者を操るノウハウがある。坊ちゃん育ちで教養のない国の政治家では太刀打ちできない。

 

実際に中国の開発援助による高金利の融資を返済できなくなったスリランカでは、南部のハンバントタ港を99年中国に貸与契約をするはめになった。

 

www.sankei.com

 

わかりやく言えば借金のカタに港を植民地にされたのだ!

ちょうど中国が昔、イギリスに香港という港を占領されたのと同じ手口である。

 

この無茶な融資と引き換えに、当時のスリランカ大統領らは8億4千万円もの賄賂をうけとったと報道されている。まさに売国奴である。

www.sankei.com

 

現政権の批判その3

「フィリピンに中国人労働者の受け入れを狙っている」

 

2019年3月4日、ベロ労働雇用省長官は「フィリピン人海外就労者を8割から9割削減し、人出不足に悩む国内のインフラ事業に充てる」と発言した。

https://www.philstar.com/headlines/2019/03/04/1898500/dole-eyes-90-cut-laborer-deployment

 

しかしこの発言は支離滅裂である。

 

現政権が力を入れる国内のインフラ事業が遅れているのは、労働者不足が原因だといっているのだが、そんなわけがない。非正規雇用だらけで失業率も高いこの国で人不足はありえない。そもそも、生来怠け者なので工事の遅れはいつものことである。

 

海外出稼ぎを禁止したところで誰も得しないのは自明の理だ。

 

私はいつもの非論理的なフィリピン政府あるあるだと思っていたが、元高官は、中国の開発援助についてくる大量の中国人労働者を受け入れるための伏線だとみている。

 

すでにマニラでは中国人向けオンラインカジノなどで、10万人もの中国人が働いていると言われており、不法就労者が時折大量に摘発されることがニュースになっている。実際、マニラのレストランや飲み屋ではでかい顔して騒ぐ中国人が急に目につくようになった。

 

この中国人に対する国民の目は厳しくなる一方だ。

 

だが、中国は開発援助と引き換えに、中華系企業と中国人労働者を連れてくるのを条件にする。

 

潤うのは中国人だけで、地元企業への利益や雇用をもたらさないので確執を呼ぶ。開発援助の名の下に中国の「占領」が進む南太平洋のトンガでは、現場は中国人労働者だらけらしい。

blog.canpan.info

 

 

「建設労働者が足りない→海外就労を規制しよう→それでも足りないので中国人を入れよう」という筋書きなのだという。

 

いずれも真偽不明の話だが、親中派の大統領なだけにやりそうな話である。実に不気味で怖い。