フィリピン実習生とアレコレ

フィリピン技能実習生にまつわる雑感です。現場から見た外国人労働者との関わり、特定技能ビザの問題についても記します。

発展途上国のミスコン裏話

このほど行われたミスユニバースでフィリピン人のカトリオナ・グレーさん(24)が優勝してフィリピンは大騒ぎになっている。

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スペインやアメリカの植民地であるフィリピンは一般的に美人が多いことで知られているが、マニラの路上にこんな顔とスタイルしている生き物はいない。以前も書いたが、ミスコンは英語力と身長が必要なので、低身長で英語が話せない大多数の貧困層は自動的に排除されてしまうのだ。

 


案の定、グレーさんはオーストラリア人の父親を持ち、生まれも育ちもオーストラリア。大学は米バークリー音楽大学を出ている才女・・と言いたいところだが、ここは4年間で学費が2千万円かかるらしい。日本人でも無理な莫大なカネor図抜けた才能どちらか、もしくは両方が必要な別世界だ。

 


https://www.ryugaku.com/sakaecolumn/ongakuryugaku.html

 


今はモデルの仕事を得たのでフィリピンで生活し、セレブと付き合うような生活を楽しんでいるようだ。美貌と知性を備え、格差社会フィリピンの上位3%に入る富裕層である。

 


フィリピンではミスコンはライブでテレビ中継され、家族全員でワーキャー言いながら見る人気プログラムだ。マニラで住んでいた時はたかが美人コンテストで盛り上がる理由がわからなかったが、よくよく考えてみたら背景がわかる。

 


日本ではノーベル賞やオリンピックなど世界に通用するイベントがたくさんある。だが、突然変異レベルの天才を除き、世界の舞台で評価されるフィリピン人はほとんどといってよいほどない。

 


同国で一番人気のスポーツはバスケットボールだが、どうあがいても中国には勝てないし、アメリカとは雲泥の差である。(ボクシングなど格闘技は時折すばらしい選手がいるが・・)

 


つまり、美人コンテストは世界でフィリピン人が頂点に立ち得る数少ない「お家芸」なのである。…選ばれるのは一般のフィリピン社会とはほとんど縁もゆかりもない富裕層なので、我々日本人からみたら釈然としないのだが。

 

 

 

ちなみに同じ大会で入賞したベトナム代表は先住民族出身(ベトナムで被差別側にあたる)で、大学時代は家政婦としてアルバイトしていた苦学生らしい。しかし、こんなのがメイドで来たらいろんな意味で家族が困るだろうに・・。

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苦労して努力でのし上がるベトナムと、銀の匙をくわえて生まれた勝ち組がさらに評価されるフィリピン・・。国民性が出て面白い。

 


と思ったらベトナム人は違う見方をするようだ。知人曰く、ベトナムのミスコンは代々金持ち&権力者の愛人なのが当たり前らしい。

 


コネが全てのベトナムでは、美人メイドの苦学生が実力だけで評価されるサクセスストーリーは存在しない。第一、メイドの給料で大学を卒業はできないので、「ウラが必ずある。ベトナム人は美談を額面通りに信じていないが、それを分かって評価している」と言い切っていた。

 


2人ともこれほどまでの大舞台で堂々と振る舞うのは心身共に、素晴らしい女性であるのは間違いない。

 


だが、表に出る綺麗なお話で単純に「素晴らしい!」と感心してはいけないのが東南アジアである。

フィリピン人実習生が帰国したあとは・・

実習生制度は今やメディアで集中砲火状態だが、綺麗事ばかり並べるおちょぼ口のメディアの視点ではなく「中の人」から見た現実を紹介しよう。

 

フィリピンの実習生Wくん(30)。常日頃から口がポケーッっと空いているような典型的なお気楽南国フィリピン男、こう言う奴に限ってやることはヤっているので子供は2人。甲斐性なしに愛想をつかされたのか、嫁が男好きだったのか知らないが、現在嫁とは別居中だ。

 

私の面倒を見ている実習生でも知能が低い部類に入るといっても過言ではないのだが、幸いなことに実習先は単純労働だったので彼には向いていた。黙々と不平不満を言わず笑顔で働き、現場の日本人にも好かれて、無事に先日3年を満了した。

 

Wくんは高卒の中年(平均年齢23歳のフィリピンでは中年)なので国に帰っても月給2万円そこそこの現場作業につければ良い方だろう。帰国後は一気に悲惨なド貧困層に一直線である。

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彼の身を案じ、私と雇い主の企業さんは再三「日本で働いた方がいいよ!」と、2年の実習延長を勧めた。

 

だが、フィリピン人労働者階級は目先のことしか考えることができない。貯金や我慢は大嫌いでその日の快楽を追求することが大好き。

 

来日前の面接では「なんでもします。僕は貧乏なんです!助けてください」と泣き落としで言う奴に限って、一年も経てば「仕事がキツイ。日本人上司が厳しい。給料が割に合わない」と文句を垂れるのが典型パターン。

 

 

ちなみに実習生は日本人と同じ仕事を肩を並べてやっている。よくメディアで見かける「ワタシたちはニホン人より大変な仕事をしている」なんて言葉を鵜呑みにしてはいけない。同僚の日本人から「あいつら言葉がわからないから、色々ケツを拭いているのを知らないのか!?」という言葉が出るのがオチだ。

 

日本人でも同じだろう。入社1、2年で「俺は先輩より大変な仕事をしている」なんて言うのはだいたいダメな奴だ。外国人も日本語を勉強しない奴に限って自らの思い込みでこう考える。実習生報道で取り上げられるコメントは大概このパターンだ。

 

Wくんは性格がよいので上記のように仕事で文句を言うタイプではなかったが、如何せん頭が悪すぎた。算数ができないので、自らが生まれて初めて手にしたような大金に目がくらみ、国に残した子供とゆっくり遊んで暮らせるとでも考えたのだろう・・。

 

我々の説得を断り、「僕はフィリピンでビジネスをするのラ」とアホヅラで語りながら帰っていった。ちなみにフィリピンの労働者階級は引き算と割り算ができないので、起業なんてできるわけがない。これはアメリカ植民地時代から続く愚民政策が残っているからだ。

 

そしてWくんが帰ってわずか2ヶ月後、早速メッセージが私に入った。

 

「日本に帰れますか?」

「自分の間違いに気がつきました」

「もう一度チャンスをください」

 

といつもの泣き落としである。

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言わんこっちゃない。ちなみにこれはよくある話だ。

 

発展途上国は日本から見て異常なまでの格差社会貧困層に生まれたらその時点で人生はほぼ終わりである。労働法をしっかり守り、保険や最低賃金以上をきちんと払う日本の実習生制度は彼らにとって決して悪い待遇ではない。

 

もちろん酷い一部の会社は稀に(ごく稀である!)あるが、そう言う会社は○き家みたいに日本人社員相手にもブラック企業である。別に外国人に対してだけ差別して酷い扱いをしているわけではない。

 

報道で騒がれる事故だってそう。この仕事をして驚いたのだが、プレス屋さんなんて社長の指が欠けているのが当たり前だ。酷いところになると経営者の親子揃って指が欠けている。

 

また、鳶職が体に入れ墨を入れるのは転落死した場合に遺体を判別するためでもあるらしい。

 

危険な仕事は外人だけでなく日本人にとっても危険なのだ。

www.asahi.com

朝日新聞のこの記事は同業種に従事する日本人の労災件数と比較していない。そらデスクワークの日本人より現場作業の方が労災は多いに決まっている。意図的な印象操作は慰安婦問題とおなじ。

 

つまり、平等に日本人と同じ仕事をすれば、事故で怪我する外国人は必ず出る。もちろん安全に向けた努力はどの業界も必死でしているが、完全にゼロにはなることは未来永劫ないだろう。それが製造業や建設業の現実なのだ。

 

だが世界中どこでも誰かがそれをやらねばならないのが現実。パソコンの前で記事を書く連中には見えない世界である。

 

繰り返すが、法令違反をするような会社は厳しく罰するべきだろう。だが、どんな問題も双方の意見を聞き、現場をしっかりと見てバランスよく判断しないと本質を見誤る。

 

「実習生として日本に帰りたい人がたくさんいる」という現実を報道するメディアがないのは不自然である。

フィリピン人面接での注意点(その二)

前回の続き

面接は非常に難しいので、100%はない。しかし10年もやっていれば何かしら法則らしきものが見えてくる。少なくとも地雷はある程度読めるようになってくるのも事実だ。

 

 

フィリピンでは小金持ちはダメ、野獣レベルのド貧困層もリスクが高いという話を前回したが、

ではどういう人物が良いか・・・というと、狙うべきはハングリーでありながら上位10%の優秀な人材である。

 

フィリピンの大家族ではブレッドウィナー(Breadwinner)と呼ばれる稼ぎ頭がいることが多い。だいたい長女だったりするのだが、こういう頑張り屋さんが必死でボンクラな兄弟を養うのが典型パターンである。

 

具体的にいうと、親に頼らず(=貧乏子沢山で頼れない)働きながら大学を出るような苦学生や、海外で長年頑張り、学費や生活費をせっせと家族に送金するような人物である。

 

フィリピン人の良いところはこういう優秀な人物に性格の良い謙虚な人が結構いることである。

 

周りはどうしようもない奴ばかりなので性格が歪みそうなもんだが・・・。不思議に思う時があるので私はこういう人たちに「なんでその環境で、そんなにいい性格に育ったの?」と思わず聞いてしまう。中国やベトナムは、これと比べて仕事ができても性格の悪い奴が多い気がする。

 

 

ちなみに実習生受け入れ先の社長に馴染みのフィリピンパブのおばちゃんがいて、「うちの弟を雇って!」と頼み込まれるケースが多々ある。

 

上記の法則からいうとこれはやめた方が良い。

 

なぜなら日本でおっさんにセクハラされながら飲み屋で働くおばちゃん(最近は新規ビザが厳しくなったので、フィリピンパブにはおばちゃんしかない)はまさにこの一家の稼ぎ頭が多いからだ。

 

翻っていうと他の家族は送金でのうのうと暮らすクズばかり。よって、おばちゃんにほだされて弟を雇ってみたらどうしようもないバカだった、というのはあるあるなのだ。特に大兄弟の末っ子はぼーっとしたダメ男が多いから注意が必要だ。

 

最後にフィリピン独特の注意点がある。それはオカマチェックだ。

globature.com

フィリピンはあまりよく知られていないがオカマ率は異常に高い。学校のクラスには3-5匹は必ずいるのが当たり前。聞いた話だが、イケメン&高身長でお金持ちの子息が多い客室乗務員男性の4割はゲイらしい・・。

 

 

わかりやすい奴なら面接ですぐに排除できるが、隠している奴が危険だ。私は過去、男を演じる隠れオカマを2度ほど受け入れて往生したことがある。

 

実習生は相部屋の寮生活なのだが、夜な夜なセクハラされる同僚から苦情が来るのだ。これとは別に「オンナとして扱ってくれない」と訳のわからない文句を言って勝手に帰国したオカマもいた。テメーは面接で男だって言っただろ!

 

また、フィリピン人によると、「オカマは伝染する」らしい。味を覚えて宗旨替えされようもんなら、寮内で色恋沙汰のトラブルが増えかねない。

 

これは女性も同じで、知り合いでタイ人女性を受け入れている会社があるが、レズビアン(タイも多い)が数人紛れ込んだせいで寮がハーレム状態になり、大変なことになったらしい。

 

LGBTをもてはやす昨今の風潮なぞ糞食らえである。こちらは仕事で受け入れるのだから、余計なトラブルは御免被りたい。

 

無職のプータローが多いフィリピンでは。ブサイクでも定職さえあれば女には困らない。独身で彼女のいない男性候補者をみたら私はオカマチェックをオススメする。

フィリピン人面接での注意点(その一)

残念なことにこのほど、ホームシックによる途中帰国を出してしまった。それも入国2ヶ月で・・。

フィリピンでこんなに短期のギブアップは経験上初めてである。

 


ベトナム人では入国して、会社に配属する途中に車から逃げ出して失踪といったケースを聞いたことがある(笑)。囚人の護送みたいである。

 


こんなのはあらかじめ計画済みなのだ。入国手続きだけ組合にさせて、在日ベトナム人を中心とした犯罪組織に入国後の不法就労先を段取して飛ぶのである。つくづくベトナム人を触るのはリスクだと思う。

 


話を戻そう。今回のケースは担当者による選抜時の面接でヒアリング不足だったことが原因だった。私がきちんと教育していなかったから起きたのだ。お恥ずかしい限りである。

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そこでこれを機会にマニュアルをまとめることにした。ここで簡単にノウハウを公開しよう。

 


ベトナムや中国と違うフィリピン独自のチェックポイントがある。

今回はそれを中心に紹介したい。私は愛国者であるが、同時にフィリピンびいきなのでより素晴らしいフィリピン人に日本でのチャンスを得てほしいと願っているからだ。

 


まず面接で気をつけるべきは人柄である。履歴書からこれをある程度読み解くことができるので注意点をあげてみたい。

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職歴を見てみよう。フィリピンは契約社員社会である。基本は最長1年で、それを過ぎると正社員化しなくてはならない。よって、1年単位で仕事をころころ変わるものが出てくる。

 


好きで辞めたわけではなく、無理やり辞めさせられている者が多いので、これだけで判断してはいけない。しかし、ここ数年は好景気なので、正社員登用のチャンスは以前と比べて桁外れに増えている。

 


高卒で20代半ばであれば正社員経験が全くないのは、よっぽどダメなやつか、産業のないド田舎育ちなど特殊な環境にあった者である。

 


また、正社員になれてもだいたい2、3年で仕事を次々と変えることが多い。これは工場などでは昇級の機会が少ないため、転職の方が昇級に効率的だからである。

 


逆に製造業でチームリーダーなどに昇進したり、5年程度同じ職場で働いている者がいるものは稀で、注目株。粘り強く、謙虚な頑張り屋さんが多い。特に日系企業で実績のある人物はやはり信頼に足ると言える。

 

 

 

職歴で他に評価すべきポイントは海外就労経験の有無が挙げられる。労働者の4人に1人が出稼ぎというフィリピンなので出稼ぎは珍しくなく、工場や建設業でいうと中東か台湾が主要な勤務先だ。

 


通常どの国でも契約は2年単位の更新制なので、この勤務期間が2年に満たないものや更新していない場合は理由を厳しく問いただすべきである。

 

ちなみに、今回の途中帰国者は台湾を7ヶ月でギブアップした経験があった。ホームシックになりやすく、諦め癖がついていたのだ…。

 


当社の面接担当者がこの途中帰国歴を見落としたことがダメ男を入れてしまった原因である。

 


私なら必ず満了しなかった理由や、出稼ぎ先の感想を聞いている。ここで前職場の悪口をしこたま言う奴がいたら、性格に難ありとして雇うのはやめた方が良いだろう。

 


特に台湾出稼ぎ者は厳しくチェックすべきである。

 

日本人から見たら海外就労経験者は優秀なイメージがあるが、さにあらず。台湾は電子部品工場を中心に数千人単位でフィリピン人出稼ぎ労働者を受け入れているので、玉石混交。フィリピンと変わらないスタイルで仕事も生活も事足りてしまう。

 


だから、6年くらい働いたような人物でも台湾語ができない(=勉強しない)し、だらだらとした怠け者もたくさんいる。

 

 

 

反対に中東経験者は全般的に根性があるといえる。特にサウジアラビアでは雇い主のアラブ人が狂っていることで有名だからだ。何せ大使館内で人殺しも厭わない気違い国家。

 

フィリピン人労働者に給料を払わない、顔に唾を吐く、挙句の果てに男をレイプする(中東では女性に手を出すと死刑になるので、男性が狙われるらしい・・)と無茶苦茶。こんな過酷な国に耐えれたら、日本の生活なんて天国なので、根を上げにくい。

 


逆に注意する職歴をあげてみよう。

 


まず一番ダメなのはアッパーミドル、中間層の上位に当たる職業である。給料が比較的高いため日本との給料格差が少ない。きつい日本の肉体労働に直面し「こんなはずじゃなかった・・」となりがちなのだ。

 


特に近年のバブルで量産されているプチ成金系は、運と縁のラッキーパンチでそこそこの給料を得ているので、伝統的な怠け者メンタリティーを持ったまま自己評価だけが高い。つまりどうしようもない輩が多い。

 


その筆頭が公務員経験者だ。

 


フィリピンはほぼ100%コネで公務員になるので、基本的にダメな奴が多い。母親が公務員だったりすると最悪だ。バカ息子を甘やかし、賄賂など役得だらけのポジションに引き込んだりすることが横行している。

 


両親など親族に公務員がいる場合も避けた方が無難だろう。

 


次に、近年増えている外資系コールセンターも注意が必要だ。平均月給5万円はもらう花形産業で、大卒の人気職種である。流暢な英語を喋り、高学歴の人物が多いが、それを鼻にかけたプライドの高い勘違い野郎が多い。

 


デスクワークなので肉体労働に弱いし、ヘッドハントやジョブホッピングが横行する業界ゆえ、直ぐに転職先を探す癖がある。小金を持ったオタクも多く、「日本を観光したい」とわけのわからない理屈で応募してくる。途中で諦めて帰国しようとすること請け合いだ。

 

a-ichikawa.hatenablog.com


では貧困層ならハングリーで大丈夫か?というと、そう単純ではないのが難しいところ。

以前もここに書いたが、ド貧困層は腹が減ったら食う、寝たかったら寝るという動物みたいな輩が多いのだ。私はこう言う連中を「昆虫」と呼んでいる。

 


しつけで規律や我慢を教えず、ネグレクトに近い育て方をされたらこうなってしまうのだ。

 


貧困層の応募者に多い職歴はショッピングモールの売り子、ファーストフードなどレストラン、セキュリティーガードなどである。

 


フィリピンのサービス業は日本の同規模店の5倍はスタッフがいるが、もっぱら同僚同士で乳繰り合ってばかり。注文した食事が出てくるまで日本の10倍は時間がかかる。ちゃんと出てくればまだ良い、「水を頼んだらスプーンを持ってくる」と言われるような理解不能レベルの行動をとる。

d.hatena.ne.jp

 


ベトナムや香港と比べても提供するスピードは倍以上に遅い。こんな連中に日本の牛丼のワンオペなんて理解不能の超人芸。下手にやらせると虐待=いじめと受け取りかねないだろう。

 


セキュリティガードもひどい。一丁前にショットガンなど持っているので見た目はいかついが、実際の業務は「人間自動ドア」で、一日中アホみたいにドアを開け閉めするのが精一杯。いざ強盗が来たら真っ先に逃げるのが関の山なのだ。

 


ほかに貧困層の仕事として農家やファミリービジネス(各種儲からない自営業)もあるが、雨が降ったら休み風が吹いたら遅刻する気ままな仕事なので、一分一秒を厳しいルールで管理する日本の会社に対応できないものが多い。

 


こうやってみると小金持ちも厳しいし、とてつもなく貧しい野獣のような生活をしてきた人も先進国の生活には向かないと言えそうだ。(続く)

 

 

フィリピン人のおばちゃんが占領する香港の週末

初めて香港&マカオに1泊2日で行ってみたが、まず驚いたのはフィリピン人の数だった。

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銀座や六本木に相当する中心地、中環で街ゆく人の10%以上はフィリピン人のおばちゃんである。昔から日曜日の公園がメイド(家政婦)の溜まり場になると聞いていたが、ここまでとは思わなかった!

場所によってはタガログ語しか聞こえず、マニラと変わらない光景になっている。

 

統計を見ると香港の人口733万人中18万人がフィリピン人、実に100人に2人がフィリピン人である。(2016年)この数は年々増加傾向にあるようだ。

 

エルメスやブルガリといった高級店が並ぶ通りは一帯が週末歩行者天国になっていたが、段ボールを敷いたフィリピン人メイドが隅々まで占拠している。音楽をかけて踊ったり、国民食ファーストフード、ジョリビー(でもオーナーは華僑)を嬉しそうに頬張る。

 

香港人は「週末だけだし、こいつらは別に怖くないからね」と気にしていない様子だが、見渡す限りのおばちゃん軍団は、はっきりいって異様な風景である。ありとあらゆる階段や高架下にいるので、最初は浮浪者か難民かと思った。

 

だが、彼女らはここでも過酷な扱いをされる底辺労働者。月給は8万円程度だ。

 

 

中環エリアは日本よりはるかに物価が高く、レストランはディナーで1人1万円は必要。ホテルはどんなに安くても一泊2万円以上。彼女らが到底賄えるものではない。晴れた日に路上に座るのが、唯一の娯楽なのだ。

 

現在の香港は100人に1人が資産1億円(!)を持ち、家賃はワンルームでも最低10万円以上はするリッチな都市。日曜の夜に高級レストランいくつかに電話してみたが、ほとんどが予約でいっぱいだった。街ゆく香港人は、高級外車とブランド品で身を固め、日本人よりもはるかに贅沢な暮らしをしている。

hongkong-bs.com

 

安物の服を着て段ボールに寝転ぶフィリピン人との格差はえげつないものがある。

 

 

余談だが、メイドの必須条件は雇い主の旦那と寝ないこと(もしくは寝る気を起こさせないこと)。だから、皆ブサイクでカエルみたいな体をしたおばちゃんばかりが選ばれている。同じ女性でも化粧をして颯爽と歩く香港人との格差はよけいに目立つ。

 

 

だが、外国人労働者を受け入れるというのはこう言うことだ。

 

今後、日本が女性の社会進出を実現させるためには、家事や育児をだれかが安価な値段で肩代わりしないと実現しない。綺麗事ではないのだ。つまり、出稼ぎ労働で来る外国人に対しては格差が必ず生じるのが世界の常識なのだ。

 

単純労働者は香港のように地元民より安いからこそ受け入れられているのが世界の現実だし、この醜い現実が女性の社会進出といった「綺麗」な現実を生んでいるのだ。

 

無責任な実習生報道の裏側

昨今の外国人受け入れに関する報道を見ていて非常に心配である。

例えばヤフートップニュースに記載されたこの記事。withnewsとかいうネットメディアみたいだが、あからさまに公平性を欠いている。ほとんど日立にとって悪意すら感じる。

 

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181120-00010000-withnews-int


例えば見出しは「通勤路が違う。まるで二級市民」「月の生活費は一万円」と奴隷のような扱いをほのめかす。

 


だが、長年フィリピン実習生と付き合っているとそれぞれの背景がよくわかる。

 


例えば、大型トラックなどが走る道路をマナーを守らない外国人が自転車で走ると大きな事故に繋がることがある。

道幅いっぱいに広がって携帯電話を使いながら乗るなんて当たり前の連中なのだから。

 


そういえば昔、私が関わっていた組合で、ベトナム人実習生が酒に酔って自転車を三人乗り(!)して電柱に激突。頭がい骨骨折などの重傷を負う事件があった。また、同じくベトナム人実習生が自転車でお婆さんに激突して死なせてしまった事件も知っている。

https://goo.gl/images/TjkoMH


こうなると企業や監理組合は大変だ、ものすごい時間とお金をこいつらの後始末に費やす羽目になるのだから。病院への引率から保険の処理、万が一死なれでもしたら家族の呼び寄せや国際貨物で死体の移送をする羽目になる。

 


保険や法制度に明るくない実習生は付き添わないと何もできないので、幼児と変わらない。会社からしたら途轍もない煩雑な手続きに巻き込まれるのだ。

 

 

 

このため、歩道が広く安全なルートを企業が通勤路として指定するのはよくある話だ。

 


しかし、「なぜこの道路を使っていけないか」を説明したとしても、思い込みの強い(これもあるある)フィリピン人が自分の都合の良い解釈をする。アホなこの記者は言い分をそのまんま書いたのだろう。

だがよく考えて欲しい。そもそも戦前の植民地ならともかく、現代の大企業、日立が理由もなく差別的なルールを作るわけがない。企業側に裏を取らず書いているに違いない。しかもこの記者は名前を明かしていない、卑怯極まりない輩だ!

 


あと、生活費1万円しか残らないとか書いてるが、彼らは家族を養うために毎月7、8万の仕送りをする。無職のプータローが大量にぶら下がっているので、給料を倍に増やしても倍送金するはめになる。母国の怠け者が寄ってたかって費ってしまうのだ。批判されるべきはぶら下がっているフィリピン人である。

 


この背景をきちんとヒアリングして書かないと本質を見誤るのだが、この記者はフィリピンに住んだこともなければ調べたこともないのだ。

 


この日立に入れているフィリピンの送り出し機関は有名で、日本語教育のレベルは高いが、高額の学習費用を取ることで知られている。

 


だが、総じてフィリピンの送り出し機関はベトナムや中国に比べて賄賂を取れないので、日本に来るまでの応募者の初期費用は知れている。10万円から20万円程度が相場だろう(ベトナム70万円から100万円、組合へバックマージンを払うところも多い)。意外にフィリピンは労働者保護に関しては公正で、給料比で言えば決して非人道的な経費ではない。

 


にも関わらず来るまでに40から50万円ぐらい借金してくるものが後を絶たない。理由は簡単だ、面接で採用されるや否や、「日本に行けるぜ!いえーい!」と働きもせず、将来入るカネを見越して大盤振る舞いの生活を始めるからである。来日までの間節約しながら勤勉に働くなんてラテン気質の国には存在しない考え。

 


ベトナムと違い、フィリピン人の借金は自業自得のケースが多いといえる。

 


もう一つ。光熱費の明細云々も、エアコンを夏は16度設定で付けっ放し、冬は33度設定で付けっ放しにするのがフィリピン人のデフォルト。

 


冬場は暖房MAXの室内でTシャツで過ごそうとする。エアコンがついた家で住んだことがないからだ。よって小まめにエアコンを切らせるなど、厳しく管理しないと二人部屋で光熱費が2、3万円かかることも珍しくない。

 


実はフィリピン人はホテルなどに泊まってもこまめにエアコンや電気を切る考えはない。むしろ「タダなんだから切るのは『もったいない』」といって付けっ放しにするのだ。我々と常識が真逆である。

 


水道光熱費全て合わせて1万円とあるが、こんな連中相手に使い放題でこの金額ならむしろ良心的だろう。

 


そもそも支給額が18万円でも納得できないなんてわけがわからない。

 


昔、日本を戦争に追いやったのは朝日新聞を始めとするメディアであることはよく知られている。反米、反中国の記事を書き飛ばして読者の感情に訴え、踊らされた国民の破滅を招いた。

 


私は昨今の実習生の報道にそれを感じる。「実習生も楽しくやってます」は記事にならないのだ。「こんな酷い目にあってます」が編集長に褒められ、読者のクリックを呼ぶからだ。

 


正確さは二の次、ごく一部の極端な例を偏った見方で取り上げて、センセーショナルな記事に仕立て上げる。

 


これに踊らされ、外国人に日本人と全く同じ権利を与えた結果、何が起きるか…ジョブホッピング(失業保険狙いの転職の繰り返し)、犯罪、挙げ句の果てに生活保護に行き着くのだ。一旦それを許せば取り返しがつかないというのに…。

そもそも単純労働者に対しては安易な転職を禁じ、退社と同時に帰国させるのはむしろ世界的には常識なのだ。

 


合理的にはっきりと「外国人労働者は日本のために呼ぶ。日本人と同じ給料や保険は払うが区別もする」というシンガポールのような哲学を公然と語る識者が、今求められている。

フィリピン人受け入れに成功する秘訣

これまでこの業界に10年近く携わってきたが、面白いのはそれぞれの企業に社風があるということだ。1日に何社もいろんな会社を回るので余計に違いが際立って見える。

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中小企業では概ね社風=社長の人柄だ。厳しく、笑わない社長の会社はやはり皆、暗いし、逆に明るく優しい社長の下では社員も和気藹々としている。

 

また、武道では「弟子は師匠の悪いところから学ぶ」というが、新参者である実習生は特に悪いことをすぐに真似するものだ。

 

そこで私の考える受け入れに成功する企業、失敗する企業を分析してみた。

 

うまくいかない例その1

・社員の年齢ピラミッドが崩壊し、高齢者しかいない企業

取引先の建設会社は社長は40代と若いが、現場の班長が3人しかいない。この会社に20代のフィリピン人2名を入れているが今ひとつうまくいかない。

 

理由としてこの班長が全員50歳前後であることが原因だと思う。

 

皆、経験20年以上のベテランだから腕は申し分ないが、もともと建設業に一人親方だった人たちが、昨今の社会保険加入義務強化を受けて嫌々ながらサラリーマンになった人ばかり。

 

この歳まで気楽な一人親方を続けてきた建設現場の職人さんは人を育てた経験も、育てられたこともあまりない。

 

だからミスをしたらすぐに罰金を取ろうとしたり、ひどい時には自分がパチンコで負けたからと実習生から金を借りようとする(もちろんクレームを会社につけていずれの行為も止めさせた)。つまり、「やってはいけないこと」がずれてしまっているのだ。

 

個人個人は悪い人ではないのだが、現場では気難しいし、ミスを厳しく怒った後は必ずケアする、みたいな体育会系の良い指導もできない。というか理解できないのだ。

 

ただ、気持ちはわかる。私もマニラで働いていた時、私を含め現地採用の若い日本人は数年で帰国してしまう。だが、現地在住の日本人上司は繰り返し帰国する若者に一から教え、一から信頼関係を作ることに徐々に疲弊していた。

pinoyintern.hatenablog.com

上司が30代ぐらいまでの若いうちはそれでも楽しんでやっていたが、40を過ぎるとこういう若者を指導し続けることに疲れてしまうのだ。

 

だから現場の班長さんが悪いというわけではなく、バランスの良い年齢層で構成されたチームを作れなかったトップの責任とも言えるだろう。

 

逆に言えば実習生と近い年齢層の若い日本人がいる会社は比較的関係も良好だ。飲みに行ったり、遊びに連れて行くのは同年代のほうがお互い楽しいに決まっているし、自分ができない時代を覚えているから指導もしやすいのだ。

 

 

 

うまくいかない例その2

・夜勤がある企業。

「うまくいかない」というと語弊があるかもしれない。残業・夜勤があると実習生の失踪や途中帰国の確率は急減する。なにせ夜勤があれば手取りは確実に20万近くに跳ね上がる。残業のない基本給だけで仕事している実習生の倍近い差が出るからだ。概ね実習生は喜んで働いている。

 

その反面、夜勤の現場では日本人が少ないため、働く実習生はどうしてもコミュニケーションが希薄になる。大きな工場になればサボりやすいし(これはフィリピン人に限ったことではない)、必然的にダレた態度になりがちなのも事実だ。

 

日本人と遊ぶことも減り、部屋にこもってフェイスブックをしたり、同胞同士でつるむため日本語も伸びない。髪の毛を染めるなど見た目や態度も悪くなる。

 

入国時に「将来は日本語の先生になります!」と目をキラキラさせていた優秀な人材が夜勤のある企業に配属された結果、日本語検定も受けず、フィリピン人の彼女と遊んで3年間を無為に過ごす例がどれだけ多いことか。もちろん金はたんまりと稼いではいるのだから本人はそれで良いかもしれないが・・。みていて釈然としない気持ちになる。

 

反面、残業がほとんどない昼勤務のみの企業でも、会社の人がしょっちゅう遊びに連れて行ってくれ、日本語教育も応援してくれた結果、見違えるように成長する例もある。

 

元実習生を使いフィリピン事業を立ち上げた会社はほとんどがこのパターンである。日本語はもちろんだが、責任感を覚え、下手な日本人よりも仕事ができるようになるフィリピン人はごまんといるのだ。

 

うまくいかない例その3

・総務があまり優秀ではない企業

取引先の企業で古い会社寮を持っている企業があるのだが、設備が古いのでしょっちゅう故障する。故障はしょうがないのだが、この対応に問題がある。

 

とにかく対応が遅い。もしくは忘れたりするのだ。

 

実習生受け入れでは意外に大切なのが総務関係で、寮のトラブルから病気まで会社によって対応がだいぶ違う。

 

だがいくらフィリピンでひどい生活をしていたとはいえ、彼らも人間である。誠実に対応し、快適な住環境を作ってあげれば感謝もするしパフォーマンスも上がる。

 

また、寮の雨漏りのようなトラブルを迅速に対応することは、彼らの仕事上の指導につながるのだ。「日本人がきちんとやるのだから、君らもやりなさい」と背中を見せることができるからである。日本人が適当な対応をしているのに彼らに厳しくするのは不公平であるし、響かない。

 

当社の取引先でうまく行っている会社は、実習生の病気や怪我の時は、工場長が直々に病院に連れて行ってくれる。もちろん組合通訳も行くのだが、病院待合室で偉い人があれこれ話かけてくれるのは嬉しいし、安心するものだ。

 

この工場は百人規模なので本当はめちゃくちゃ忙しいはずなのだが、この工場長はそんなそぶりはまったく見せず、待合室で雑談してくれている。

 

フィリピン人は「義理と恩」の概念があるので、こうされると弱いのだ(ちなみにベトナムや中国はカネが全てなのでフィリピン人ほどはこれが効かないことを留意されたい)。組合通訳だけが病院に連れて行くとこの「恩」は組合スタッフに向いてしまう。企業の偉い日本人がわざわざやっていることがポイントである。

 

 

これらを踏まえてうまく行くコツは単(ひとえ)に「彼らのために時間をどれだけ使ってあげるか」に限ると思う。一見非常にめんどくさいし、効率悪そうに見える。

 

だが、フィリピンでは社員旅行や社内パーティといったイベントは非常に重要視されている。特に欧米系のコールセンターなどでは転職や引き抜きが横行しているので、2週間に一回はアメリカ人上司と食事会をもうける会社もあるほどなのだ。

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そしてフィリピン人はこういうイベントをめちゃくちゃ楽しんで参加する。

 

信頼関係があるフィリピン人は無理をきいてくれたり、頑張って結果を見せようとしてくれる。逆に「俺は、俺」とフィリピン化されると仕事を怠けたり嘘をついたりとろくなことはない。だから「飲みニケーション」に時間を割くのは結果的に良い効果を生むのである。

 

日本で絶命つつある体育会系というか、家族ぐるみで面倒を見るという古い会社文化の良い面を残す企業こそフィリピン人に適していると言えそうだ。